軟弱地に対応した電動セミクローラ運搬車
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要約
開発した電動セミクローラ運搬車は軟弱地でも走行が可能であり、最大積載量は150kg、畝幅にあわせてトレッドが調節でき、軽トラックの荷台に乗せられる。畝に沿って走行し操作も容易である。騒音、排気ガスが発生しないので作業者の負担が少ない。
- キーワード:運搬、軟弱地、レタス
- 担当:中央農研・中央農研・高度作業システム研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8812
- 区分:関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
露地野菜の収穫時期は天候不順となる確率が高く収穫・搬出作業が遅れ、市場の混乱を招く場合が多い。特にレタス収穫作業台車は、
畝をまたいで畝間を車輪が走行する手押し式運搬台車が多く利用されているが、降雨後の軟弱なほ場では車輪が沈下してしまい、収穫したレタスのほ場外への搬
出には多大の労力を要する。そこで、降雨後の軟弱なほ場においても、収穫物の搬出が円滑に行えてかつ省力化が図れる運搬車を開発する。
成果の内容・特徴
- 開発した電動セミクローラ運搬車は、前輪を電気モータで駆動するクローラ、後輪をキャスタ輪とするセミクローラ方式である。
クローラの回転を左右独立に切り替えることで前後進、左右旋回する。操作はリモコンに付いている4方向レバーと速度調整ツマミで行う。トレッドが調節でき
1330~1800mmの畝を跨いで走行し、最大積載量は150kgである(図1、表1)。
- クローラにより接地圧が低く、全長に対して接地長の短いクローラとキャスタ輪の効果により旋回時にほ場を荒らしにくい。軟弱
地ではキャスタ輪のキャスタ首振りを固定することで、走破性、直進性が向上する。電動にしたことで騒音、排気ガスの発生がなく作業者の負担が軽い。レバー
スイッチは力を入れなくても操作ができ、リモコンは機体の前後両側に取り付けられるので後進時も操作性が高い。軽トラックの荷台に乗せ、ほ場間移動ができ
る。
- セミクローラ運搬車は手押し運搬車の車輪が沈下し走行が困難な軟弱地でも走行が可能である(表2)。
- クローラ、車輪が畝間の段差に沿って走行するので、頻繁に操舵をする必要がなく、最大積載時でも容易に搬出作業ができる(表3)。
成果の活用面・留意点
- レタス以外の軽量作物の運搬にも利用できる。排気ガス、騒音が発生しないので施設内でも利用できる。
- 軽トラックへの積み込みはあゆみ板を用いる。リモコン操作することで機体から離れて積み込みができるので安全性が高い。
- 満充電で1日のレタス収穫作業が可能である。
- 傾斜地での利用には対応していない。
具体的データ




その他
- 研究課題名:農作業の高精度化・自動化等による高度生産システムの開発及び労働の質改善のための評価指標の策定
- 課題ID:223-a
- 予算区分:高度化事業(降雨リスク)
- 研究期間:2005~2007年度
- 研究担当者:齋藤秀文、宮崎昌宏、小林恭、玉城勝彦、関正裕、長坂善禎、建石邦夫