関東北部の転換畑におけるナタネ品種「キラリボシ」の機械化栽培法
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要約
関東北部では霜柱による凍上害を避けるため,10月中に播種する。転換畑では播種時の冠水害を軽減するため,小明渠浅耕播種機を用いる。栽植密度は少なくとも30本/m2以上とし,春季の追肥を行う。ナタネの莢が退緑した後、普通型コンバインで収穫する。
- キーワード:ナタネ、「キラリボシ」、湿害、小明渠浅耕播種機、追肥
- 担当:中央農研・バイオマス資源循環研究チーム
- 連絡先:電話029-838-7038
- 区分:バイオマス
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、地球温暖化対策として、油糧作物由来のバイオディーゼル燃料が脚光を浴びている。ナタネは油脂含有率が約40%と高く、国
内でも導入可能な油糧作物と考えられる。ナタネ栽培体系は1960年代に確立されているが、機械化栽培についての知見は少ない。また、近年、国内でも食用
に適した無エルシン酸品種が育成されており、中でもダブルロー(無エルシン酸・低グルコシノレート)品種「キラリボシ」は食用としても有望であり、食用と
して利用した後、バイオディーゼル燃料にする多段階利用が可能である。そこで、ナタネ品種「キラリボシ」の機械化栽培体系を策定する。
成果の内容・特徴
- 栽培は、ほぼ既往の耕種概要に準じる(表1)。関東北部は冬期の降雪が少ないものの,霜柱による凍上害がありうるため、越冬前の生育を確保するよう,10月中に播種する。播種時の冠水害が問題となることがあるが,小明渠浅耕播種機(注)で2m間隔に小明渠を設けることで,地表排水を図ることができる。
注)平成16年度関東東海北陸農業成果情報「ダイズの湿害軽減のための広畦成形・浅耕播種技術」
(http://www.naro.affrc.go.jp/top/seika/2004/kanto/kan04005.html)
- 栽植密度が低くなると収量が減少するので、30cm程度の畦幅で、栽植密度は少なくとも30本/m2以上となるようにする。いずれの栽植密度でも,春季に窒素4kgN/10a程度を追肥することで増収を図ることができる(図1)。
- ナタネの粒重の増加が停止する時期には,種子水分は40%程度に減少しているが,莢水分・茎水分は80%程度と高いままである(図2)。普通型コンバインで収穫するのは、莢が退緑し,莢・茎水分が低下してからが望ましい。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、茨城県つくばみらい市の約2haの圃場で4年間ナタネ-ヒマワリを栽培した結果に基づく。
- 隣接水田に対する承水溝として額縁明渠を施工する。
- 排水不良圃場ではナタネの収量が劣るため、特に転換初年目の圃場選定に注意する。
- 転換初年目で砕土性が不十分の場合は、播種前に1回耕うんを行う。
- 栽植密度30株/m2、千粒重4gとすると必要播種量は120g/m2程度となるが、発芽率が低下する可能性があるため、300~500g/10a播種する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:温暖地における油糧作物を導入したバイオマス資源循環システムの構築
- 課題ID:411-c
- 予算区分:交付金プロ(油糧作物)
- 研究期間:2005~2007年度
- 研究担当者:松崎守夫、岡田謙介、安本知子、冨樫辰志、梅田直円、加藤仁、谷脇憲