イネウンカ類の飛来情報提供システム
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要約
登録した都道府県にウンカの飛来が予測されると電子メールで通知される。利用者はリンク先の飛来予測図を参照し、飛来時刻、飛来地域、飛来源の予測情報を得る。システムでは、過去の予測図と飛来の解析図を検索でき、利用者が飛来解析に利用できる。
- キーワード:イネウンカ類、飛来予測
- 担当:中央農研・データマイニング研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-7176
- 区分:共通基盤・情報研究
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
イネウンカ類は2005年以降東アジア全体で多発生が続いており、本種の適切な管理が重要である。2003年度の研究成果として「イネウンカ類の長距離移動シミュレーションモデル」が開発され、中国南部から日本への飛来が予測可能となり、試験的に情報提供されてきた。ところが、予測計算が研究用共通計算機に依存していたために、計算負荷状況により定時に計算が終了できない問題があった。また、より使いやすい情報提供の実現も課題となっていた。そのため、飛来予測と飛来解析情報の実用的な提供を実現するために、飛来情報提供システムを開発する。
成果の内容・特徴
- ウンカの飛来予測は、明後日までに、いつ頃、どの地域に飛来があるかを予測する。予測期間は飛来シーズンの5月から10月までである。飛来予測の的中率は、2004から2007年の梅雨期の九州への飛来について、73から84%程度である。
- 飛来予測の計算は、長距離移動シミュレーションモデルを用いてPCクラスタと呼ばれる専用計算機で行う(図1)。毎日定時に予測計算を行うことが可能である。
- 長距離移動シミュレーションモデルは、主に中国南部に設定した20の矩形飛び立ち地域から、明け方と夕方にウンカが飛び立つと仮定して、48時間後までの移動を計算し、水平分解能33km、時間分解能1時間の飛来予測データを生成する。
- 日本植物防疫協会のJPP-NET(http://www.jppn.ne.jp/)の「ウンカ類飛来情報提供システム」において、飛来予測データを加工し、使いやすい形で提供する。例えば、利用者が事前に都道府県を登録し、そこに飛来が予測されると、電子メールで通知される(図2)。通知先はパソコンと携帯電話を選べる。
- 利用者は通知されたリンク先の飛来予測図を参照して、飛来時刻、飛来地域、飛来源の予測情報を得ることができる(図3)。飛来予測図は、ウンカの相対的空中密度の時間変化を地図上に書いた2次元の動画と、ソフトウエア「Google Earth」上でウンカの3次元位置の動画が利用できる。
- また、システムでは過去の飛来予測図と、気象の確定値データを用いた飛来解析図を検索できる。飛来解析図は、気象の確定値を利用して大気を再現しているので、飛来予測図より精度が高い。この飛来解析図と利用者が持つ予察灯データとを用いて、利用者独自の飛来解析、例えば飛来源の推定などを行うことができる。
成果の活用面・留意点
具体的データ
その他
- 研究課題名:多様かつ不斉一なデータの融合によるデータマイニング技術の開発
- 課題ID:222-c
- 予算区分:実用技術(イネウンカ)
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:大塚彰、植野節子(日植防)、松村正哉(九沖研)、渡邊朋也
- 発表論文等:1)Otuka et al. (2008) Appl. Entomol. Zool. 43(4):527-534