作業姿勢を効率的に評価できるOWAS法解析サポートソフトウェア

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要約

作業姿勢評価手法であるOWAS法の解析を効率的に行うためのサポートソフトウェア。スナップリーディング作業の自動化により、解析に必要な画像ファイル作成時間が大幅に短縮され、対話形式の入力が行えることで、迅速かつ簡便にOWAS法解析が行える。

  • キーワード:OWAS法、作業姿勢、労働負担、解析、ソフトウェア
  • 担当:中央農研・高度作業システム研究チーム
  • 代表連絡先:電話059-268-4610
  • 区分:共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

農作業の効率化と負担軽減を実現するためには、作業状況を観察、分析し適切な改善を行う必要がある。作業姿勢の評価手法の一つであるOWAS(Ovako Working Posture Analysing System)法は農作業を始め様々な作業で利用されているが、一定時間(30~60秒)毎に作業者の瞬間の姿勢を観察(スナップリーディング)し、記号(OWASコード)化する必要があるため、解析に熟練と多くの時間を要する。そこで、OWAS法解析の迅速化、評価者の利便性向上を目的としたOWAS法解析サポートソフトウェアを開発する。

成果の内容・特徴

  • OWAS法解析サポートソフトウェアはスナップリーディングソフトとOWASコードの入力を行うOWAS法判定ソフトで構成される(図1)。スナップリーディング作業はビデオソースから一定間隔毎に抽出した静止画像を観察することで行う。
  • ビデオソースはDVテープ方式とメモリ方式のビデオカメラに対応し、DVテープ方式ではIEEE1394ケーブルでコンピュータに接続し再生を行いながら、メモリ方式では、映像ファイルを一旦HDD等に保存後に時間情報付画像ファイルを生成する(図1、表1)。再生と変換に必要な他ソフトとの併用により、多様なビデオ形式に対応し、初期設定を除き一連の動作は自動的に行われるため、操作時間が大幅に短縮される。
  • OWAS法判定ソフトは画像ファイルと連動して、姿勢コードの入力が行える。姿勢コードはマウスもしくはキーボードにより選択でき、全体の姿勢がスティックピクチャに表示されるため、コード判断に習熟していない評価者でも入力が容易に行える。コード入力と同時に、作業改善の必要性を4段階で示すアクションカテゴリ(AC値)が判定されるため、姿勢の変化による負担の強度が判断できる。姿勢を判断し、入力確定するのに必要な時間は操作に慣れた場合で1画像あたり2~4秒である(図2)。
  • タイムスライダにより、コード入力結果および画像を瞬時に呼び出すことが可能で、対象前後の画像がサムネイル表示されるため、姿勢の連続的変化が把握できる他、AC値によって色が変化するカラーバーにより、改善を要する作業の頻度、持続時間が直観的に把握できる(図2)。コード入力結果はCSVテキスト形式で保存され、解析画面表示により、AC値の時間的推移や頻度分布が把握できるほか、表形式でのデータの一覧表示機能等を有している(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 各地域の農業試験場および普及センターにおける作業姿勢の評価に利用できる。
  • 希望者にはソフトのインストーラとマニュアルを含めたCD-ROMを配布できる。
  • OWAS分析ソフトのJOWAS ver.0.92(瀬尾、2002)のファイルの入出力に対応している。
  • ソフトを動作させるには日本ナショナルインスツルメンツ(株)で無償配布されているLabVIEW8.6.1ランタイムが必要である。

具体的データ

表1 サポートソフトウェアの仕様

図1 サポートソフトウェアの構成

図2 OWAS法判定ソフト

図3 OWAS法解析機能

その他

  • 研究課題名:農作業の高精度化・自動化等による高度生産システムの開発及び労働の質改善のための評価指標の策定
  • 中課題整理番号:223a.3
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:建石邦夫、小林恭、関正裕
  • 発表論文等:建石ら「OWAS法解析サポートソフトウェア」職務作成プログラム機構-A19