低樹高の果樹および果菜類に防鳥網を簡易に掛け外しする方法
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要約
樹高2m程度までの果樹および果菜類に対し、一般的な農業資材を用いて簡易かつ安価に防鳥網を掛け外しでき、防除が必要な時期のみに手軽に防鳥網を使用できる。
- キーワード:防鳥網、簡易展張技術、果樹、果菜類、コンパクト栽培、低面ネット栽培
- 担当:中央農研・鳥獣害研究サブチーム、近中四農研・鳥獣害研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-8925、電子メールchouju_gai2@naro.affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(鳥獣害)、共通基盤・病害虫(虫害)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
収穫期の果樹や果菜類は鳥類による食害を受けやすい。食害防止には防鳥網の設置が確実であるが、大がかりな防鳥網は資材費が高額となるうえに、施工後は固定的で作業の邪魔になり、降雪時や強風時にも網を外すことが困難なため、設置をためらう場合が多い。そこで、一般的に入手できる安価な資材を使用し、樹高2m程度までの低樹高の果樹および果菜類に、防除が必要な時期のみに防鳥網を簡易に掛ける方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 列状に打ち込んだ直管パイプに、水道用ホースの切片を刺し通した弾性ポールを連続した山形に差し込み、両端にマイカ線を通して取り扱いを容易にした防鳥網を滑らせていくことで、網をスムーズに掛け外しできる(図1、図2)。
- 使用する資材と工具はすべて一般的なものである(表1)。
- 2a(長さ20m列間4mで樹高2mの樹木が3列)の圃場では、資材費は5万円前後であり(表2)、固定型防鳥網の約2分の1程度である。2名で作業した場合の初回作業時間は約5時間、2回目以降は約40分である。
成果の活用面・留意点
- 防鳥網は、網目が30mmで糸の太さが1000デニールの「強力防鳥網」タイプが、果樹や果菜類の主要加害鳥であるカラス類、ヒヨドリ等を同時に防ぐことができ、作業性や耐久性にも優れている。掛ける圃場に対して、縦横とも5~6m以上大きい防鳥網を使用する。
- 簡易に作業できる圃場の広さは幅12m長さ45m前後まで。より広い圃場は分割して複数の防鳥網を使用する。
- 樹高2mでは、直管パイプの打ち込み間隔を1mとし、長さ3mの弾性ポールを使うが、より低い樹木や果菜類には、広いパイプ間隔や短い弾性ポールも使用可能である。
- 防鳥網と果実が近い場合は網越しに食害されることがあるので、追加の弾性ポールをぼんぼり状に設置する等の方法で、網と果実の間をあける。
- 低面ネット栽培棚を用いた果樹の低樹高栽培(奈良県と近畿中国四国農業研究センターで開発)を行っている圃場では、さらに短時間かつ安価に防鳥網を掛けられる。
- 写真を用いて作業方法を詳しく解説したマニュアルは、鳥獣害研究サブチームのホームページで入手できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:野生鳥獣の行動等の解明による鳥獣害回避技術の開発
- 中課題整理番号:421c
- 予算区分:基盤、実用技術
- 研究期間:2007~2009年度
- 研究担当者:吉田保志子、井上雅央、上田弘則、佐伯緑、百瀬浩