温暖地以北の大豆畑における帰化アサガオ類の発生状況と被害内容
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要約
帰化アサガオ類は四国地域から東北地域にかけて1,600ha以上の大豆畑で発生している。特に東海地域で多く、大豆栽培面積の26%で確認される。大豆畑では収穫作業等を阻害する強害雑草である。
- キーワード:大豆、マルバルコウ、マルバアメリカアサガオ(アメリカアサガオ)、マメアサガオ、ホシアサガオ、マルバアサガオ
- 担当:中央農研・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-8953
- 区分:共通基盤・雑草、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
輸入飼料に混入して海外から侵入した外来雑草は畜産や飼料生産を通じて普通畑に入り込み、その分布域は徐々に拡がりつつある。帰化アサガオ類は九州地域から東海地域の大豆作で問題となっており、九州地域での発生状況は明らかにされているが、四国地域以北では発生状況や被害実態は十分に把握されていない。そこで、2008年9~11月に九州地域を除く公立農業関係普及指導機関の協力により、温暖地以北における大豆畑での発生状況と被害の実態を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 大豆畑での帰化アサガオ類の発生確認面積は1,613haであり、大豆栽培面積の3.3%に相当する。特に東海地域での発生頻度は極めて高く大豆栽培面積の26%で発生し、最も発生頻度が高い愛知県では大豆畑の50%以上で発生が確認されている(表1)。
- マルバルコウ、マルバアメリカアサガオ(アメリカアサガオ)およびマメアサガオは中国・四国地域から東北地域にかけての広範な地域の大豆畑で発生が確認されている(図1a, b, c)。
- ホシアサガオは東海地域から東北地域にかけての太平洋側地域の大豆畑で発生が確認されている(図1d)。
- マルバアサガオは、他の4種と比べると大豆畑での発生は少ない(図1e)。
- 帰化アサガオ類による被害内容は収穫作業の阻害が主であり、次いで大豆汚粒の原因となることや、大豆の生育初期~中期に絡みつくことによる生育後期の倒伏も問題である(表2、図2)。
成果の活用面・留意点
- 帰化アサガオ類の発生地域およびその隣接地域での雑草警戒情報として活用する。
- 大豆畑周辺でアサガオ類の発生を確認した場合には、有効な除草剤を使用するなど適切な除草管理により大豆畑への侵入を防ぐ必要がある。
- 今後の分布拡大を解析するための基礎データとなる。
- 九州地域における帰化アサガオ類の発生状況は、平成19年度九州沖縄農業研究成果情報としてまとめられている。
具体的データ




その他
- 研究課題名:難防除雑草バイオタイプのまん延機構の解明及び総合防除技術の開発
- 中課題整理番号:214b
- 予算区分:基盤、委託プロ(温暖化)
- 研究期間:2008~2009年
- 研究担当者:渡邊寛明、澁谷知子、黒川俊二