コンバインのわら細断拡散装置を利用すれば大豆不耕起播種前のフレールモーア処理は省略できる
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要約
前作麦稈の焼却の代替として行われるフレールモーア処理は土壌の圧密化等を通して大豆の苗立ちを悪化させ減収を招く場合がある。麦収穫時にコンバインのわら細断拡散装置を利用すれば、フレールモーア処理を省いても不耕起播種の作業性への影響は小さい。
- キーワード:大豆、不耕起播種、麦稈処理、苗立ち
- 担当:中央農研・大豆生産安定研究チーム・関東水田輪作研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-8532
- 区分:関東東海北陸農業・水田作畑作
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
転換畑における麦跡大豆栽培では、前作麦類の麦稈は焼却されることが多かったが、環境面への配慮等からフレールモーアによる細断処理を行う農家が増えてきている。しかしながら、麦稈や残存雑草の細断と拡散を目的としたフレールモ~ア処理の効果については不明な点も多く、作業に伴う土壌の圧密化の影響も懸念されることから、コンバインによる麦稈の細断拡散処理を対照に、その影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 麦類の収穫時にコンバインの細断拡散装置を用いて麦稈を処理した後、大豆播種前にフレールモーア処理を行うと、麦刈り株の高さと麦稈の切断長は平均値、ばらつきともに小さくなり、地表面に拡散される麦稈量の偏りは少ない。フレールモーア処理を省略する場合でも不耕起播種作業での“わらづまり”等のトラブルの増加は少なく、播種作業時間はフレールモーア処理の有無による差はない(表1)。
- フレールモーア処理の有無による大豆栽培時の雑草量の差異は小さく、省略しても土壌処理剤の効果を低下させることはない(表2)。
- フレールモーア処理を行うと固相率や貫入硬度が大きくなり土壌の圧密化が進み、田面高が低下して滞水の危険性が増大する(表2、図1)。
- 不耕起播種は慣行の耕起播種に比べ苗立ち率はやや低いが、フレールモーア処理を行うと苗立ちは一層悪化し、収量も低下する(図2、表2)。
成果の活用面・留意点
- 不耕起播種の作業性の評価については水稲・麦・大豆の水田輪作を実施している茨城県稲敷市の現地圃場において汎用コンバイン~不耕起播種機(NSV600)を利用した作業体系で行った。
- 麦跡の大豆不耕起栽培において前作由来の麦稈の土壌処理除草剤の効果への影響は小さいことを報告している(平成16年研究成果情報)。
具体的データ




その他
- 研究課題名:汎用不耕起播種機を基軸とするイネ~ムギ類~ダイズ体系の実証と経営評価
- 中課題整理番号:211c
- 予算区分:委託プロ(担い手)
- 研究期間:2007~2009年度
- 研究担当者:浜口秀生、松尾和之、加藤雅康、渡邊和洋、島田信二、渡邊好昭