トリフルラリン、クロロプロファムの同時処理はカラスムギの防除効果を高める

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

麦作の難防除雑草カラスムギに対して、土中から出芽した個体に対してはトリフルラリンの、地表から出芽した個体に対してはクロロプロファムの防除効果が高い。この2剤の同時処理によってそれぞれ単独の処理よりもカラスムギの防除効果が高まる。

  • キーワード:カラスムギ、トリフルラリン、クロロプロファム、同時処理
  • 担当:中央農研・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8426
  • 区分:共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、本州以南の固定転換畑の麦作ほ場において麦作強害草カラスムギの被害が常態化しており、有効な防除対策が求められている。カラスムギは出芽期間が長く、2009年時点のムギ類用既登録除草剤では防除効果が不十分である。既登録除草剤の有効成分のうちイネ科雑草に対して比較的効果の高いトリフルラリン、クロロプロファム(IPC)について、その作用の特徴を明らかにし、カラスムギに対してより効果の高い利用法を確立する。

成果の内容・特徴

  • 耕起条件で土中(0~10cm)から出芽したカラスムギに対して、クロロプロファム処理は防除効果が非常に小さいが、トリフルラリン処理は無処理区と比較して生残個体数を50~80%に減少させる。(図1)。
  • 不耕起条件で地表面から出芽したカラスムギに対して、トリフルラリン処理は防除効果が認められないが、クロロプロファム処理は無処理区、トリフルラリン処理と比較して防除効果が高い(図2)。
  • トリフルラリン、クロロプロファムの同時処理は、それぞれ単独の処理と比較してカラスムギに対して防除効果が高い(図1)。同時処理では耕起条件で処理2ヵ月以降に出芽したカラスムギに対する防除効果も高い(図1)。

成果の活用面・留意点

  • トリフルラリンとクロロプロファムの混合製剤については、2010年現在、実用化のための適用性試験が実施されており、今後、ムギ類用の除草剤として登録普及が見込まれる。
  • トリフルラリン、クロロプロファムともに他のムギ作のイネ科雑草に対してはカラスムギより防除効果が高い。したがって、両剤の同時処理は他のイネ科雑草種の防除対策としても有効と期待される。

具体的データ

図1 土中から出芽したカラスムギに対するトリフルラリンとクロロプロファムの防除効果

図2 地表面から出芽したカラスムギに対するトリフルラリンとクロロプロファムの防除効果

その他

  • 研究課題名:難防除雑草バイオタイプのまん延機構の解明及び総合防除技術の開発
  • 中課題整理番号:214b
  • 予算区分:基盤、交付金プロ(総合的雑草管理)
  • 研究期間:2001~2009年度
  • 研究担当者:浅井元朗、與語靖洋(農環研)
  • 発表論文等:1)浅井・與語(2009)雑草研究 54:226-232