品種特性をビジュアル化できる系譜図自動作成ソフトウェア;EvoTree
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要約
作物・家畜の系譜図を自動作成する日本語対応ソフトウェア:EvoTreeは、系譜図上への品種特性表示や特定の系譜抽出機能を有する。このため、品種育成記録の整理だけでなく、親子関係と品種特性の関連解析、育種母本の効率的選択に有効活用できる。
- キーワード:系譜図自動作成、ソフトウェア、日本語入力、系譜抽出、品種特性表示
- 担当:中央農研・データマイニング研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-7176
- 区分:共通基盤・情報研究
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
系譜図は、作物や家畜の育成経過を整理したり、品種相互の類縁関係を視覚的に確認するのに活用されるが、大量データや系譜の循環を含む場合には複雑となり作成に膨大な時間と労力が必要となる。 系譜図作成を効率化するためにこれまでに様々なソフトウェアが開発されてきた。これらの中には、系譜図の自動作成機能に加えて、系譜図上への品種特性表示や特定の系譜抽出機能を有するものがある。品種特性表示機能は血縁関係と遺伝的疾患との関連を明らかにするなど視覚的な系譜解析に、系譜抽出機能は複雑な系譜図における品種の育成経過のトレースに活用されている。 しかし、日本語に対応した系譜図作成ソフトウェアにおいて、品種特性表示や、特定の系譜抽出機能を有するものはこれまでに開発されていない。そこで、作物・家畜の育成記録の整理や系譜解析を支援する、日本語対応ソフトウェア、EvoTreeを開発した。
成果の内容・特徴
- EvoTreeでデータファイルを読み込むと系譜図が自動的に作成される。データファイルの読み込み・系譜図作成に要する時間は1000程度の品種データ(各品種につき名称・母本名・父本名を入力)で約2分である(CPU2.33GHz、メモリ6GB)。系譜図は、品種の名称が表示された長方形の枠(以下パネルとする)と、パネル間を結ぶ系譜線から構成される(図1)。
- 特定の品種、およびその祖先・後代パネルを系譜図上に強調表示することで特定の系譜を抽出できる。この機能により、大量データを含む複雑な系譜図でも、品種の育成経過を簡便に辿ることができる。
- 品種パネルの色分けにより、系譜図上に品種特性を示すことができる(図1)。この機能により親子関係と品種特性の関連解析や、埋もれていた有用育種素材の探索ができる。
- EvoTreeは系譜図の複製、複数の系譜図の画面表示が可能である。複製した系譜図を異なる品種特性で色分けすることにより(図2)、系譜、品種特性を系譜図で確認しながら、育種母本を効率的に選択できる。
成果の活用面・留意点
- EvoTreeは無償配布予定である。詳細はEvoTreeとともに配布予定のマニュアルを参照のこと。
- EvoTreeは,Windows XP SP2あるいはWindows Vista のOS上で作動する。
- 今後、品種特性、ジーンバンクの保有状況を系譜図上に表示し、育種母本の効率的選定を支援予定である。
- EvoTreeはテキスト形式(タブ区切り)データファイルの読み込み・保存ができる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:多様かつ不斉一なデータの融合によるデータマイニング技術の開発
- 中課題整理番号:222c
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2009~2009年度
- 研究担当者:竹﨑あかね、坂智広(横浜市大)、勝田真澄(筑波事務所)