冬期湛水と水稲栽培の組み合わせによる一年生夏畑雑草6種の埋土種子の死滅割合

要約

冬期湛水と水稲栽培の継続で、シロザとホソアオゲイトウの種子は死滅割合が高く、3年で80%以上が死滅するが、イヌビエとオオイヌタデの種子は死滅割合が低い。冬期湛水および水稲栽培の有無にかかわらず、オオイヌホオズキの種子は死滅割合が高く、マルバルコウは低い。

  • キーワード:埋土種子、一年生夏畑雑草、冬期湛水、死滅
  • 担当:中央農研・カバークロップ研究関東サブチーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8522
  • 区分:共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

一年生雑草の発生源は主として前年度までに土壌に蓄積した埋土種子である。埋土種子量を低減させることによって雑草の発生量が減少し、各種雑草防除技術の効果が高まることが期待される。雑草種によって種子の死滅条件は異なると考えられるため、大豆作における主要一年生夏畑雑草6種を対象に、冬期の湛水の有無と水稲栽培の有無の組み合わせが、種子の死滅に及ぼす効果を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • シロザとホソアオゲイトウの種子は冬期湛水と水稲栽培(PP)を継続するにしたがって死滅割合が高まり、3年で80%以上が死滅する(図1A、B)。
  • シロザの種子は冬期湛水と水稲栽培(PP)以外の処理ではほとんど死滅しない(図1A)。
  • イヌビエとオオイヌタデの種子は冬期湛水と水稲栽培の組み合わせ(PP)で死滅割合が最も低い(図1C、D)。
  • オオイヌホオズキの種子は冬期湛水の有無と水稲栽培の有無の組み合わせにかかわらず、1年半で80%以上が死滅する(図1E)。
  • マルバルコウの種子は冬期湛水の有無と水稲栽培の有無の組み合わせにかかわらず、死滅割合が低く、3年で30%程度である(図1F)。
  • 6種ともに、冬期湛水のみ(PU)あるいは水稲栽培のみ(UP)では、通年畑管理(UU)よりも死滅割合は高まらない(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、夏畑雑草の埋土種子低減を考慮した作付体系の立案に活用できる。
  • 本成果は、中央農研(茨城県つくば市)のコンクリートポット試験により得られたものであり、実際の圃場では土壌生物などの生物要因および土壌環境要因等によって埋土種子の死滅割合は変動する可能性がある。

具体的データ

表1.一年生夏畑雑草6種の埋土種子の死滅割合

その他

  • 研究課題名:カバークロップ等を活用した省資材・環境保全型栽培管理技術の開発
  • 中課題整理番号:214c
  • 予算区分:交付金プロ(総合的雑草管理)
  • 研究期間:2007~2010年度
  • 研究担当者:澁谷知子、三浦重典、中谷敬子、鄭凡喜