日射量観測地点が劇的に増えた気象データ仲介システム
要約
日射量を観測している気象観測地点が少ないため、日射量を含む気象の再解析データに着目し、既存の気象データ仲介システム(MetBroker)に統合した。これにより、日射量を要求する作物の収量予測モデルなどを1度グリッドで実行できる。
- キーワード:再解析データ、日射量、MetBroker
- 担当:中央農研・データマイニング研究チーム
- 代表連絡先: 電話 029-838-8481(代表)
- 区分:共通基盤・情報研究
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分類:研究・参考
背景・ねらい
既存の気象データ仲介システム(Metbroker)は、複数の気象データ源を仮想的に統合し、世界約23,000観測地点の気象観測データを同一の手法で提供する。MetBrokerに新しいデータ源を追加するだけで、応用プログラムはそのデータを利用できる(H12、H16成果情報)。
多くの作物収量推定モデルでは日射量を必要とするが、日射量を観測している観測地点は少なく、これらのモデルを世界各地で実行することはMetBrokerの応用プログラムでは困難であった。気象の再解析データは、利用できる観測データと時空間的に整合するように気象モデルを実行して生成されたデータであり、日射量を含んでいる。欧米では観測データを補うデータとして、研究に使われている。
以上の理由で、再解析データをMetBrokerに統合することで日射量を利用可能な観測地点を増やし、作物モデル(開発者)に提供する。
成果の内容・特徴
- 再解析データは、地球観測データ統合・解析システム(DIAS)において、東京大学生産技術研究所の沖大幹研究室が作成した1961年から2000年までの1度グリッドの日平均気温・日別雨量・日別日射量データである。
- データローダを開発し、データセットからデータを読み込み、データをデータベース(PostgreSQLを利用)に登録するとともに、メタデータをMetBrokerに登録している。このデータベース用のデータドライバを作成し、再解析データをMetBrokerに統合している(図1)。
- 再解析データを統合したMetBrokerは、www.agmodel.comで試験的に利用できる。図2に示すように、一切コードを変更していないMetBrokerのデモプログラムからも利用できる。
- 利用例として、DIASで行った「イネの栽培可能性予測シミュレーター」http://dias.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/simriw/(図3)がある。
成果の活用面・留意点
- MetBroker応用プログラムでない場合は、MetXML(H21成果情報)を用いて再解析データを入手し、データ形式を変換して利用できる。
- 他の再解析データも、データを入手し、データベース化し、データドライバの開発することにより、 MetBrokerに統合できる。沖研究室が作成した日本付近の再解析データ(0.1度グリッド)を統合中である。
- 今回作成したPostgreSQLデータベースはDIASに登録して、元データと同じ条件で入手できるようにする予定である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:多様かつ不斉一なデータの融合によるデータマイニング技術の開発
- 中課題整理番号: 222c
- 予算区分: 国家基幹技術
- 研究期間:2009~2010年度
- 研究担当者: 木浦卓治 田中慶(フィールドモニタリング)
- 発表論文等:
- 試験運用サイト:http://www.agmodel.com/