粒が大きく、つややかな外観の良食味水稲品種「みずほの輝き」

要約

「みずほの輝き」は、良質で炊飯米の外観が良く、「コシヒカリ」並の極良食味である。寒冷地南部では晩生の晩に属し、作期分散による高品質米生産に利用できる。

  • キーワード:イネ、極良食味、高品質
  • 担当:作物開発・利用・水稲品種開発・利用
  • 代表連絡先:電話 025-523-4131
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・作物開発研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

寒冷地南部では、中生の「コシヒカリ」の作付割合が依然高い状態にあり、作業競合による刈り遅れや、近年の温暖化傾向による米の品質低下が問題になっており、これに対処するため、作期分散を可能にする晩生品種の開発が求められている。また、現在、主食用米需要の3割弱を外食・中食産業が占める状況となり、弁当やおにぎり等に適する米の開発が求められている。そこで、炊飯米の外観が良く、良食味で、弁当等にも利用しやすい晩生の極良食味品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「みずほの輝き」は、「北陸174号」と「中部98号」の交配後代から育成された品種である。
  • 出穂期・成熟期は「日本晴」よりやや早い“晩生の晩”に属する。稈長は、「日本晴」並の“中”、穂長は“中”、穂数は「日本晴」よりやや少ない“中”、草型は“中間型”である。耐倒伏性は「日本晴」並の “やや強”である。収量性は、「日本晴」よりやや多収である(表1)。
  • 玄米千粒重は約25gで、「日本晴」よりやや重い“やや大”である。玄米の外観品質は、「日本晴」と同等で“中の上”と判定される(表1)。
  • 食味試験の結果は、炊飯後30分以内では外観、粘りが良好で、総合評価で「コシヒカリ」並である。冷飯ではうま味、なめらかさ、粘りが良好で、総合評価で「コシヒカリ」と同等以上である(表2)。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子は“Pii”を持つと推定され、葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性は“やや強”である。穂発芽性は “中”であり、穂孕期の障害型耐冷性は“強”である。高温耐性は“中”である(表1)。
  • 実需者からは、炊飯米の外観が良く冷めても美味しい、大粒で炊き増えし大量炊飯に向いている等の評価を得ている(表3)。

普及のための参考情報

  • 栽培可能な地域は、北陸以西である。2013年1月現在で、新潟県、長野県で産地品種銘柄に設定されており、全国に7件の種子許諾先(新潟県、福島県、埼玉県、京都府等)があり、各地で普及している。特に新潟県上越地域では、2012年に230ha作付され、2013年には 400haの作付が見込まれる。
  • 粒大が大きいため、急激な乾燥を避け、胴割れの発生に注意する。 また、穂発芽性が“中”であるため、適期刈り取りに努める。
  • 晩生であるため玄米品質は低下しにくいが、高温耐性は十分ではないので、登熟期に高温となる地域での栽培には留意する。
  • 「みずほの輝き」は 2011年3月に品種登録された(登録番号20614)。

具体的データ

 表1~3

その他

  • 中課題名:米粉等加工用・業務用水稲品種の育成及び米の未利用成分利用技術の開発
  • 中課題番号:112a0
  • 予算区分:交付金、委託プロ(加工プロ4系)
  • 研究期間:1996~2012年度
  • 研究担当者:山口誠之、笹原英樹、松下景、重宗明子、長岡一朗、三浦清之、上原泰樹、後藤明俊、太田久稔、清水博之、小牧有三、大槻 寛、福井清美
  • 発表論文等:三浦ら「みずほの輝き」品種登録 2011年3月15日(第20614号)