ISO11783規格に対応した農業機械用電子制御ボードAgriBusBoard32

要約

本ボードは国産農業機械メーカが市販機器に組み込んで使用することを想定して開発を行った電子制御ボードである。普及が見込まれるISO 11783規格に対応した農業機械の電子制御ユニットを、低コストに開発・製造することができる。

  • キーワード:農業機械、ISO11783、電子制御ユニット、市販機組み込み
  • 担当:IT高度生産システム・農作業ロボット体系
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・作業技術研究領域、北海道農業研究センター・畑作研究領域、近畿中国四国農業研究センター・営農・環境研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

農用資材の均一散布・局所施用等による効率的な利用や、異なるメーカ製のトラクタと作業機械の接続・運用を実現するための強力なツールとなるISO11783規格(農業・林業機械用シリアル通信制御ネットワーク)に対応した農業機械が、海外市場で販売され始めている。しかしながら、新たな電子制御技術の導入に係るコストが問題となっており、国内におけるISO11783規格の導入は進んでいない。そこで、電子制御ユニット(ECU)の開発・製造コストを抑えながら国産農業機械のISO11783規格への対応を進めるため、共通プラットフォームとなる電子制御ボードを開発する。

成果の内容・特徴

  • AgriBusBoard32は、農業機械メーカが市販機器に組み込んで販売することを想定して開発した電子制御ボードである。ISO11783規格に対応した各種作業機械用ECU(図1-1)や既存のトラクタをISO11783規格に対応させるための後付けキット(図1-2)等、汎用的な利用が可能なので、開発・製造コストを低く抑えることが可能である。
  • ボードには、最大120MHz動作が可能な32bitCPUを実装している。本CPUは512kBのフラッシュメモリと64kBのデータメモリを実装しており、ISO11783規格に準拠した複雑な制御アルゴリズムを処理する能力を有する。また、2chのCAN(Controller Area Network)インターフェース や12bitのデジタル入力、8bitのデジタル出力、それぞれ4chのアナログ入出力など、農業機械の制御に必要な周辺回路を実装している(表1)。
  • デジタル入力回路にはダイオードによる過電圧保護回路とフォトカプラを使った絶縁回路を実装している。さらに、CAN通信用ノイズフィルタや電源の逆接続(バッテリ交換時に発生しやすい)保護回路を備えるなど、実用場面を想定した回路である(図2)。
  • コネクタおよびケースは、耐候性のあるものを採用している(図3)。ケース内を絶縁性のあるシリコーンで充填することで、IP67(防浸型)レベルの耐水性を付加できる。

普及のための参考情報

  • 普及対象:国内農業機械メーカ。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:農業機械関連の部品商社より、2013年9月に販売する。初年度は国内農業機械メーカ10社への販売を予定している。
  • その他:ECUとして活用するためには、目的に応じたソフトウエアを書き込む必要がある。

具体的データ

図1~3

その他

  • 中課題名:土地利用型大規模経営に向けた農作業ロボット体系の開発
  • 中課題番号:160a0
  • 予算区分:交付金、実用技術
  • 研究期間:2010~2012年度
  • 研究担当者:西脇健太郎、濱田安之、奥野林太郎、元林浩太、寺元郁博
  • 発表論文等:西脇、AgriBusBoard32使用マニュアル