作業計画・管理支援システムと連動するAndroid端末用作業記録作成ソフト

要約

Android OSを搭載した端末上で作業計画・管理支援システム(PMS)とデータ交換しながら、作業現場で圃場地図とともに作付や作業計画を確認しつつ、作業記録を作成できるソフトである。作成した作業記録はPMSのデータとして利用できる。

  • キーワード:生産管理、作業記録、Android、ソフト、PMS
  • 担当:IT高度生産システム・農業情報統合利用
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・情報利用研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

ここ数年、離農の増加に伴い地域の担い手経営への農地集積が顕著になっている。このような担い手経営の多くは管理圃場枚数の増大とともに経営規模が拡大し、生産管理事務作業も繁雑・膨大なものとなったことから「作業計画・管理支援システム(PMS)」(2009年度普及成果情報)をはじめとするIT農業支援技術が普及しつつある。さらに近年は携帯性・操作性に優れたスマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、農作業現場でも作付・作業計画確認や作業記録作成を行いたいという現場ニーズが高まっている。 そこで、比較的自由にソフト開発・配布ができるAndroid端末を対象とし、農作業現場で作付や作業計画を確認しながら作業記録を作成でき、なおかつPMSの管理データと交換・同期できるソフトを開発し、現場ニーズに応える。

成果の内容・特徴

  • 作業記録作成ソフトFaWL(Farm Work Logger)はAndroid OSバージョン2.2以降を搭載したスマートフォン、タブレット端末上で動作する。
  • FaWLの動作に必要な、タイル分割された圃場地図画像ファイル(地理情報付きPNG形式ファイル)と圃場・作付配置や作業計画が記述されたFIX-pms文書(2011年度研究成果情報)ファイルはPMSで作成する(図1)。
  • Windows PC上のPMSとAndroid端末上のFaWLはUSB接続、SDカード等のリムーバブルメディア、またはインターネット上のストレージサービス(Dropbox、SkyDriveなどではリアルタイムなデータ同期も可能)を利用してデータ交換する(図1)。
  • FaWLはマップ画面またはAR(拡張現実)画面を表示しながら対象圃場を特定し、作付・作業計画の確認、作業記録作成(FIX-pms文書に保存)を行うほか、作業記録に付随する静止画(JPG)・動画(MP4)・音声(MP4)・バーコード(JPG)記録作成、GPS移動軌跡(GPX/KML)収集などを行うことができる(図2)。
  • FaWL上で作成された作業記録、静止画等、GPS移動軌跡はPMSが動作するWindows PC上に転送してPMSのデータとして利用できる(図1)。
  • PMSは複数のFaWL(Android端末)とデータ交換・同期できる。そこで、作業者一人一人にそれぞれの当日の作業計画を渡し、作業者が作成した作業記録を収集して日々の作業進捗をオンタイムで共有・管理するといった運用が可能である。

普及のための参考情報

  • 普及対象:主として大規模経営をはじめとする土地利用型農業生産者。
  • 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:普及地域限定はなし。PMS導入普及済みの約100経営体を中心にそれ以上の普及拡大を目指す。
  • その他:実証評価を兼ねてPMSパッケージに同梱して2012年1月よりWeb公開無償配布中。圃場生産管理に関する講演・研究会等においてパンフレット配付ともに広報中。インターネットストレージサービス利用のデータ交換は無償利用範囲で運用可能。概略および入手についてはPMSサイトを参照のこと。

具体的データ

 図1~2

その他

  • 中課題名:多様な農業情報の効率的収集技術及び統合利用技術の開発
  • 中課題番号:160b0
  • 予算区分:交付金、委託プロ(アシスト)
  • 研究期間:2011~2012年度
  • 研究担当者:吉田智一、木浦卓治
  • 発表論文等:
    1)機構職務作成プログラム(知財登録手続き中-中央農研承認済み)
    2) FaWL情報公開ページ