新品種・新技術を活用した食農連携の形成・促進のためのWebマニュアル

要約

農業者等が研究機関の新品種・新技術を活用して商品開発に取り組む際に利用できるWebマニュアルであり、研究機関と連携したコンソーシアム形成、異業種企業との相互理解と連携深化、栽培試験・実証試験等、食農連携形成・促進のポイントを示している。

  • キーワード:食農連携、6次産業化、高付加価値化、地域活性化、自主学習
  • 担当:加工流通プロセス・食農連携
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・農業経営研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

異業種間の連携を通じて新品種・新技術や地域資源を活用した新たな商品開発や新規事業により地域活性化を図ろうとする「農商工連携」や「6次産業化」の食と農の連携が政策的に推進されており、その形成手順や推進方策を確立することが強く求められている。そこで、優良事例や実証試験等で把握された形成要因や促進要因をもとにその手順を整理し、公的研究機関の研究成果の直接的利用を促す「食農連携マニュアル」を作成する。

成果の内容・特徴

  • このマニュアルはWeb上にあり、成功の確度が上がるポイントである新品種・新技術導入、連携・多角化の高度化、地域への関係事業体の集積が実現できるように構成している(表1)。農業者等の地域の推進者は手順に沿って学習教材として、プランナー等は小項目をチェクリストとして参照するなど、ユーザー別の使い方ができるようになっている。加えて、ユーザー別のアイコンを用意し、主に見て欲しいユーザーのアイコンを赤色にしている(図1左上)。さらに、農水省や関係機関、地域の優秀な経営者と連携して常に最新情報を提供できる仕組みになっていること、参考文献を示していること、より詳細な情報が得られる専門サイトにリンクしていることなどが特徴である。
  • 6次産業化に向けて農業者等が取り組むべき重要なポイントとして、仲間づくり、商品づくり、産地づくり、地域づくりがあり、そのための課題(中項目)として「新技術探索とマッチング」「支援方策」「コンソーシアム形成」等、さらに具体的な課題(小項目)として「新技術の探索」「マッチングの方法」「連携関係の強化」「商談・交渉ツール」「投資リスクの低減」等がある(図2)。
  • 公的研究機関が開発した新品種・新技術導入による高付加価値化、地域活性化を図るポイントとして、研究機関と連携したコンソーシアムの形成、異業種の連携企業との相互理解と連携の深化、栽培試験・実証試験の実施等がある(図2)。
  • 本マニュアルの特徴である「コンソーシアム形成」の項目には、(1)経営・企業として自立、(2)自社の強みがある、(3)相互理解が得られている、(4)価値観や情報の共有、(5)目的や目標の共有、(6)同じ「場」を共有、(7)相互に意思疎通可能な幅広いネットワーク、(8)対等な関係が重要であることを示している(図1)。

普及のための参考情報

  • 主なユーザーは、公的研究機関で開発した新品種・新技術を活用して、異業種の各機関相互間の連携を促進し、共同での商品開発や販路開拓を行い、最終的には地域および地域農業の活性化を目指している農業者や農業団体等の推進者、プランナー等である。
  • 本マニュアルは、各種6次産業化支援団体の事業化支援業務や人材育成プログラム、農業者等の自主学習に利活用される。
  • 本マニュアルのアドレスは、https://www.syokunoh.jp/である。

具体的データ

図1,表1

図2

その他

  • 中課題名:消費者ニーズの高度分析手法及び農業と食品産業の連携関係の評価・構築方法の開発
  • 中課題整理番号:330e0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2010~2013年度
  • 研究担当者:河野恵伸、後藤一寿、森嶋輝也、大浦裕二、山本淳子、森尾昭文、高橋太一、磯島昭代、佐藤百合香、大西千絵、吉田晋一、佐藤和憲(岩大農)、中嶋晋作(明大農)
  • 発表論文等:
    1)後藤(2011)農村経済研究、29(1):30-38
    2)河野ら(2013)十勝型フードシステムの構築:122-129