簡単に操作できる動力散布機シャッタ調節機構

要約

動力散布機シャッタ調節部について、連結棒に取っ手を取り付けることと、シャッタアームにある連結棒止め金具の支点位置を変更することにより、簡単に操作できる機構である。取扱性が向上し穴の差し替え時間が短縮され、連結棒を落とすミスも解消される。

  • キーワード:動力散布機、シャッタ調節、取扱性、巧緻性
  • 担当:IT高度生産システム・農作業ロボット体系
  • 代表連絡先:電話 029-838-8481
  • 研究所名:中央農業総合研究センター・作業技術研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

担い手不足や高齢化等に対応するため、身体負担が少なく安全で簡単な農作業体系が必要とされている。水田の追肥作業など多く用いられる動力散布機について、従来は、シャッタ調節をするために20mm程度の狭いすき間の奥に手を入れて、連結棒をシャッタアームの差込穴から差し替えたり、止め金具を指で開きながらシャッタアームを保持したりする必要があった。そのため、手先の巧緻性が必要で操作ミスもあり改良要望があった。そこで、シャッタ調節操作を簡単にして取扱性の向上を図る。

成果の内容・特徴

  • 動力散布機(図1)において、薬剤タンク内にあるシャッタ調節部にある連結棒へ100mm程度の取っ手を取り付けることで、機体右側方から容易に連結棒を保持して調節できる(図2)。
  • シャッタアームにある連結棒の止め金具の支点をシャッタアームの差込穴(吐出流量「多」、「中」、「少」)より右側に取り付けることで、止め金具とシャッタアームを一緒に握ると止め金具を開きながらシャッタアームを保持できる(図2)。
  • シャッタ左側にあるギアノブの太さを従来のΦ24mmからΦ35mmにすることで、ギアノブを指先で保持する力を4割低減できる(図2)。
  • 被験者男女4名(熟練者2名、初心者2名)によるシャッタ調節時間は、従来機で27~87s、試作機で16~34sと、3~6割短縮可能である。特に連結棒の穴の差し替え時間が短縮され、連結棒を落とすミスも解消される(図3)。
  • 被験者4名(前項と同じ)による7段階の主観評価は、従来機では全て4点以下、試作機では全て4点以上と良好な評価である。「穴出し入れしやすさ」、「総合評価」、「表示見やすさ」で有意な差があった(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 動力散布機のシャッタ調節部の改良に活用する。
  • 試作機以外への適用にあたっては、機体スペースなど考慮して設計する必要がある。

具体的データ

図1~4

その他

  • 中課題名:土地利用型大規模経営に向けた農作業ロボット体系の開発
  • 中課題整理番号:160a0
  • 予算区分:交付金、競争的資金(科研費)
  • 研究期間:2010~2014年度
  • 研究担当者:菊池豊、小林恭、宮本武緒(丸山製作所)、森谷圭一(丸山製作所)、瀬尾明彦(首都大学東京)