野菜・果実の光沢の測定

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要約

平面状、円柱状、球状の野菜・果実の光沢は、試料の大きさを補正すれば試料間で比較できる。また、野菜・果実の光沢は収穫後急速に低下し、貯蔵初期の鮮度の指標として適している。

  • 担当:食品総合研究所・素材利用部・多水分素材研究室
  • 代表連絡先:0298-38-8087
  • 部会名:食品
  • 専門:食品品質
  • 対象:野菜類、果樹類
  • 分類:研究

背景

野菜や果実の光沢は品質や鮮度に関わる要因であり、出荷規格や消費者の購入時の選択基準にも関係している。
しかし、現状では光沢は目で見て評価されているだけであり、客観的な評価は行われていない。
そこで機器による客観的光沢評価法開発のため、平面状、円柱状および球状試料の光沢の測定法と大きさの違いの補正法を検討するとともに鮮度と光沢の関係を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 市販の光沢計を用い、試料の正反射光の強さを基準光沢板と比較して鏡面光沢度を測定した。測定角度は平面状および円柱状試料では60゚とし、球状試料では測定値を大きくするために75゚とした。
  • 平面状試料としてサザンカの葉を用いたとき、光沢度は色調には影響されず、目視評価と対応関係にあった。
  • 円柱や球では、半径と光沢度の間に図1、2のような関係があった。これらから、大きさを補正する次の関係式を得た。

    円柱側面の光沢度=a/(円柱の半径)+4.8-1.7×a (aは係数、測定角度60゚)
    球面の光沢度=a×(球の半径1/2-1.1)+9.8 (aは係数、測定角度75゚、半径5cm以下)

    この式に試料の光沢度と半径の測定値を入れて、aを求めることにより、大きさの異なる円柱状および球状の野菜・果実の試料間の光沢の比較ができるようになった。
  • 球状試料としてトマト25個の光沢を測定し、大きさの違いを補正して図3の光沢の分布を得た。この光沢と水分、糖度、色調、大きさ等との間には有意な相関はなかった。また熟度の違いによる光沢の変化も小さかった。
  • クリ、ナス、オウトウの貯蔵中における同一部位の光沢は、どの試料においても短時間に急速に低下し(図4)、光沢は野菜・果実の貯蔵初期における鮮度の指標として適している。

成果の活用面・留意点

同じ測定面でも入・反射光の方向によって測定値が変動する試料があるので測定方向を一定にする。
また円柱状試料では入・反射を上下方向とする。
同一個体でも測定部位による変動が大きいため、5カ所以上について測定し、平均値をとる必要がある。
ピーマン、イチゴ等測定面が不定形の試料の光沢測定は本法では困難である。

具体的データ

図1 円柱の半径と円柱側面の光沢度の関係
図2 球の大きさと球面の光沢度の関係
図3 トマトの光沢の分布
図4 オウトウの貯蔵中の光沢と重量の変化

その他

  • 研究課題名:青果物の光沢の評価
  • 予算区分:緊急技術開発
  • 研究期間:平成5年度(平成元年~平成5年)
  • 研究担当者:細田 浩、岩橋由美子、小泉英夫
  • 発表論文等:青果物表面の光沢の測定(第1報)平面及び円柱状試料の光沢の測定法、園芸学会雑誌、59別冊2、1990
                      青果物表面の光沢の測定(第2報)球状試料の光沢の測定法、園芸学会雑誌、61別冊2、1992