国内産トウモロコシにおけるフモニシン汚染の実態とその除去

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要約

国内産のトウモロコシのフモニシン汚染状況を調べ、一部の試料から検出した。ドライミリングによるフモニシンの除去を試みた。ドライミリングにより大部分のフモニシンが非可食部へ移行する。

  • 担当:食品総合研究所・流通保全部・微生物・トキシン制御研究室
  • 代表連絡先:0298-38-8069
  • 部会名:
  • 専門:加工利用
  • 対象:とうもろこし
  • 分類:指導

背景

フモニシンは、1988年に南アフリカのThielらにより発見されたマイコトキシンで、ウマの脳がスポンジ状となる白質脳症の原因物質となることが証明されている。多くの食品や飼料が汚染されることが知られているが、特にトウモロコシの汚染が顕著である。フモニシンの産生菌としては、Fusarium moniliforme、F. proliferatum、F. nygami等が知られている。まず、日本産のトウモロコシの、カビにかなり汚染された試料のフモニシン汚染状況を調べた。また、フモニシンに汚染されたトウモロコシ試料を用いて、ドライミリングによるフモニシンの除去を試みた。

成果の内容・特徴

  • 高速液体クロマトグラフィーでの分離および検出は良好であり、OPA試薬で誘導体化した場合にはフモニシンで0.1ngまで定量的に検出できた。DBD-F試薬を用いた場合には、5 ngまで検出できる。この場合、感度は低下するが、誘導体の安定性が高いので何度も分析できる利点がある。
  • 各地の試験場等から採取したトウモロコシ中のフモニシンの分析結果を表1に示した。
  • フモニシンに汚染された試料を用いてドライミリングを行い、各分画についてフモニシンの汚染状況を調べたところ、表2に示すように87%のフモニシンB1がフィードとダストの非可食部に移行することがわかり、可食部への移行は少ないことが明らかになった。同様に、フモニシンB2も88%が非可食部に移行することがわかった。

成果の活用面・留意点

トウモロコシへのフモニシン汚染状況は明らかになった。ドライミリングによりフモニシンの87-88%は非可食部に移行するが、12-13%は可食部に残ることがわかった。今後は、汚染防除をはかる必要がある。

具体的データ

表1
表2 トウモロコシをドライリングした場合のフモニシンB1の移行率

その他

  • 研究課題名:農産物におけるフモニシンの汚染実態解明
  • 予算区分:別枠「安全性向上」、経常
  • 研究期間:平成5~8年度
  • 研究担当者:田中健治・川杉正一・小野裕嗣
  • 発表論文等:トウモロコシのフモニシン汚染とドライミリングによる除去、日本防菌防黴学会第23回年次大会、1996年5月