シュンギクの抗酸化性を示す新規キナ酸誘導体の解析
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要約
シュンギクから2種の抗酸化成分を単離し、機器分析の結果から、いずれもイソクロロゲン酸誘導体であるこを明らかにした。うち1種は新規化合物である。両者の抗酸化活性は各種イソクロロゲン酸類と同程度であった。
- 担当:食品総合研究所・分析評価部・状態分析研究室
- 代表連絡先:0298-38-8033
- 部会名:食品
- 専門:食品品質
- 対象:シュンギク
- 分類:研究
背景
抗酸化成分が過酸化脂質や活性酸素に起因する種々の体調異常や疾病等を制御・予防することが明らかになり、食品の第三次機能として注目されている。43種の野菜について抗酸化成分を検索したところ、シュンギクが比較的強い活性を示した。そこで、その活性成分を単離して特性を解明することを目的とした。
成果の内容・特徴
- 単離された2種の化合物(SP-1とSP-2)の絶対配置は図1に示す通りであり、イソクロロゲン酸の誘導体である。すなわち、SP-1は3,5-ジカフェオイルキナ酸である。SP-2はSP-1の4位にコハク酸が結合した、文献未載の新規化合物である。その絶対配置は円二色性(CD)スペクトルから明らかにした(図2)。
- 2つの化合物の抗酸化性は、β-カロテン退色法により検定した。SP-1とSP-2の抗酸化活性は図3に示すように各種イソクロロゲン酸類と同程度であり、酸化防止剤3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール(BHA)の10分の1程度であった。
- 分類学上、シュンギクと同じ科に属するゴボウでもコハク酸の結合部位がSP-2と異なる化合物が報告されており、類似のイソクロロゲン酸誘導体が野菜に広く分布していることが推定された。
成果の活用面・留意点
シュンギクはカロテン、ミネラル、繊維が豊富な野菜である。その抗酸化成分が同定されたことは、シュンギクの新たな健康維持機能を成分面から証明したことになる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:農水産物中の機能成分の機器分析
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成8年度(平成8年度~12年)
- 研究担当者:忠田吉弘、小野裕嗣、亀山眞由美、永田忠博、津志田藤二郎
- 発表論文等:Structural identification of two antioxidant quinic acid derivatives from garland, J. Agric. Food Chem. 44(8),2037-2039 (1996)
各種野菜類の抗酸化性の評価および数種の抗酸化成分の同定、食工誌、41(9)、611-618 (1994)