ペクチンが小腸の形態及び小腸吸収細胞の超微細構造に及ぼす影響
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
ペクチンはセルロースに比べ、マウスの回腸繊毛高を増加させ、空腸吸収細胞の細胞間隙腔を拡大し、回腸吸収細胞のぺルオキシソームを増加させる傾向が認められた。食品の摂取による組織の形態や細胞の超微細構造の観察が、機能性発現のメカニズム解明の一助として活用し得る可能性が示唆された。
- 担当:食品総合研究所・食品機能部・機能生理研究室
- 代表連絡先:0298-38-8089
- 部会名:食品
- 専門:食品品質
- 対象:
- 分類:研究
背景
電子顕微鏡を用いた観察の結果、魚油等による細胞の超微細構造の変化が機能性の発現メカニズムと関連している可能性が示唆された。そこで、ペクチン食及びセルロース食のマウス小腸形態と小腸吸収細胞の超微細構造に及ぼす影響を、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて検討した。
成果の内容・特徴
- ペクチンはセルロースと比較し,マウス空腸と回腸の腸腺窩の深さ及び回腸の繊毛高を有意に増加させた(p
- ペクチン食マウスではセルロース食マウスと比較し、空腸吸収細胞においてinter-cellular space(細胞間隙腔)が拡大したものが多数認められた。(図1)。
- ペクチン食マウスの回腸吸収細胞では、ペルオキシソームが多く認められたが、セルロース食マウスの回腸吸収細胞では、ペルオキシソームはほとんど認められなかった。(図2、図3)。
成果の活用面・留意点
本研究は機能性成分の消化吸収機構の解明の一助として活用し得る。
具体的データ



その他
- 研究課題名:電子顕微鏡による食品機能の解明
- 予算区分:経常
- 研究期間:田村 基、鈴木 平光
- 研究担当者:平成9年度(平成7~平成9年度)田村 基、鈴木 平光
- 発表論文等:Motoi Tamura, Hiramitsu Suzuki (1996) Effects of docosahexaenoic acid and sardine oil diets on the ultrastructure of jejunal absorptive cells in adult mice. Ann. Nutr. Metab. 40, 263-268.
Motoi Tamura, Hiramitsu Suzuki (1997) Effects of pectin on jejunal and ileal morphology and ultrastructure in adult mice. Ann. Nutr. Metab. 41, 255-259.