※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
Aspergillus属カビのうちAspergillus parasiticusのアフラトキシン産生に関与する酵素遺伝子の存在を高感度で検出するPCR法を開発した。
アフラトキシンはAspergillus属の一部のカビによって作られるカビ毒で,動物に対して強い急性毒性を示すとともに自然界で最も強力な発がん物質として恐れられている。東南アジアからアフリカにかけてのヒト肝癌多発地帯が高温多湿で穀物などのアフラトキシン汚染と一致することから,アフラトキシンは人間の肝臓癌の原因物質のひとつと考えられている。アフラトキシンの検出は抗体などの利用で可能になっているが,産生糸状菌の分析は容易ではない。そこで,アフラトキシン汚染防除対策の確立に寄与するため,産生菌Aspergillus parasiticusを高感度に検出できるPCR法を開発した。
(図1)
Aspergillus parasticusの遺伝子診断のために,4種のアフラトキシン関連酵素の遺伝子塩基配列をもとにPCR反応のためのプライマー分子を設計した。本プライマーはAspergillus属の糸状菌のうちでA. parasticusに特異性が高く,研究室保有の他のAspergillus属の糸状菌では明確なDNAの増幅は認められなかった。4種のプライマー対を用いたPCR法によりAspergillus parasticusの迅速な検出・同定が可能であり,Aspergillus parasticusによるアフラトキシン汚染の防除を進める上で有用であると考えられる。