豚胸膜肺炎菌のPCR-RFLP法による検出及び型別
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要約
豚胸膜肺炎菌を高感度で検出し,12血清型を5つのグループに型別するPCR-RFLP法を確立した。
- 担当:家畜衛生試験場 細菌・寄生虫病研究部 病原機能研究室
- 連絡先:0298(38)7743
- 部会名:家畜衛生
- 専門:診断予防
- 対象:豚
- 分類:指導
背景・ねらい
豚胸膜肺炎は,わが国で最も発生の多い豚の感染症の一つである。原因菌のActinobacillus pleuropneumoniae(App)は,莢膜多糖体抗原により12血清型に分類されており,血清型別は治療や疾病防除対策及び疫学的解析の上で必須となっている。そこで,本菌の感染防御抗原の一つである外膜リポ蛋白の構造遺伝子omlAを利用し,PCR-Restriction Enzyme Length Polymorphism(RFLP)法によるAppの迅速な検出及び型別,さらに血清型との比較を試みた。
成果の内容・特徴
- 血清型5型と1型のomlA遺伝子の共通配列を利用し,表の条件でPCRを行った。その結果,12血清型全ての参照株から約970bpの断片が増幅された(図A)。 本断片はAppとの鑑別が重要なPasteurella multocida及びMycoplasma hyopneumoniaeを含む22菌種からは増幅されず,Appに特異的であった。
- 増幅断片は,制限酵素Vsp Iによって12血清を菌が5つのグループに区分できた(図B)。また,Vsp Iの反応用とPCR用バッファーの組成が類似しているため,増幅断片をそのまま制限酵素で切断可能で,作業の迅速化を図ることができた。
- 以上の成績は,供試した野外分離株209株でも確認できた。
- PCRによる検出限界は,血清型5型参照株DNAを使用した場合20pgであり,これは103~104個の菌に相当した。
成果の活用面・留意点
今回確立したPCR-RFLP法は特異性が高く,わが国で分離頻度が高い1,2,5及び7型をそれぞれ別のグループに区分できることから,菌の検出及び最終的な血清型別の前のスクリーニング法として有用であることが示唆された。
具体的データ


その他
- 研究課題名:豚胸膜肺炎菌のPCR法による迅速検出とタイピング法の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成8年度~9年度
- 発表論文等:
- 第69回日本細菌学会講演要旨集p316
- 第121回日本獣医学会講演要旨集 p143
- J.Vet.Med.Sci.,59:213-215 (1997)