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生後6日齢で下痢を示した子牛と健康な子牛の好中球化学発光能を比較した。その結果,下痢発症子牛では健康子牛に比べ,出生時から28日齢まで一貫して化学発光能が低いことが判明した。
子牛の出生後,下痢や肺炎などの感染性疾病が多発する。この原因の一つとして,新生子牛の生体防御機構が未熟であることがあげられる。そこで,貪食白血球の貪食・殺菌機能測定法の一つである化学発光能測定法を用い,出生時から28日齢までの子牛の貪食細胞機能の動態を調べた。また,下痢発症によってその機能がどのような修飾を受けるかを調べた。
ホルスタイン新生子牛を用い,出生直後(生後2時間以内),生後3日,7日,14日及び28日齢に採材を行った。下痢の判定方法として,生後6日齢の糞の乾物重量が15%以下を下痢と判定した。測定項目は,血液化学発光能(血液CL能),好中球化学発光能(好中球CL能),白血球数及び血漿コルチゾール濃度とした。血液CL能は血液50μlにHepes Eagle's-MEM(細胞浮遊液)450μl,ルミノール(増光剤)10μl及びザイモザン(細胞刺激剤)10μlを加え化学発光測定器(ベルトールド社,Multi-Biolumat、LB9505C)を用いて測定を行った。好中球CL能は血液から分離調製した好中球画分8x104個/200μlにルミノール10μl及びザイモザン10μlを加え,血液CL能と同様に測定した。
出生後1週間前後に下痢を起こすような子牛は,出生時の段階から好中球機能の低い子牛が多いことが判明した。したがって,好中球機能の測定は,下痢症発生予察のための補助的診断指標となることが期待される。