Random Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法によるPasteurella haemolytica血清型1型菌株の遺伝子型別
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要約
Pasteurella haemolytica血清型1型菌株を8つのグループに型別するRAPD法を確立した。
- 担当:家畜衛生試験場 総合診断研究部 病原診断研究室
- 連絡先:0298(38)7798
- 部会名:家畜衛生
- 専門:診断予防
- 対象:牛
- 分類:普及
背景・ねらい
Pasteurella haemolyticaは,牛呼吸器複合感染病の主要原因細菌のひとつである。本菌は,莢膜の
抗原性により現在までに12種類の血清型に分類されているが,呼吸器病罹患牛からは特に血清型1に属する株の分離頻度が高
い。このため,疫学解析を行うためには同一血清
型をさらに区別できる方法が必要となる。
そこで,迅速且つ簡便な分子疫学手法であるRandom Amplified Polymorphic
DNA(RAPD)法を用いて血清型1型菌株の型別を試みた。
成果の内容・特徴
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RAPD法のプライマーとしては,PB1(ggAACTgCTA)
が最適であった。
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各血清型標準株(1~16型)及び1987年から1997年に日本国内で分離された血清型1型野外分離株(31症例由
来56株)を供試した。血清型1型供試菌株は,他の血清型標準株とは異なる泳動パターンを示した。
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血清型1型野外分離株は,8種類のRAPDパターン(type a~h)に分けられた(図
1)。
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同一症例由来株は全て同一のRAPDパターンを示し,11症例由来株がtype aに,7症例由来株がtype
eに,4症例由来株がtype b 及びc に,2症例由来株がtype g に,それぞれ型別された。
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全ての菌株についてRAPD法による型別を4回行ったが,RAPDパターンに変化は認められず再現性に問題はなか
った。
成果の活用面・留意点
RAPD法による型別は本菌の疫学解析に利用できる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:Pasteurella haemolyticaの遺伝子型別
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成9年~10年度
- 発表論文等:
1.第125回日本獣医学会講演要旨集,p.151 (1998)
2.日本細菌学雑誌,54 : p.194 (1999)