プロスタグランジンFを用いた雌豚の発情同期化技術の開発

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要約

発情周期を繰り返している成熟雌豚にプロスタグランジン(PG)Fを反復投与することによって, 発情を同期化することが可能で,同期化された発情時の交配によっても,自然発情による交配と同様の繁殖成績が得られた。

  • 担当:家畜衛生試験場 病態研究部 保健衛生研究室(現 動物衛生研究所 生産病研究部 臨床繁殖研究室)
  • 連絡先:0298(38)7784
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:豚
  • 分類:普及

背景・ねらい

雌豚が雄を許容しない鈍性発情や雌豚の発情の見落としによる交配失宜で,生産性の低下が問題となっている。 雌豚の発情同期化が可能となれば,発情・排卵を制御できるため鈍性発情や発情の見落としを防止することができる。 また,計画的な生産及び交配の集中化による作業効率の向上や作業量の軽減にもつながる。そこで,ホルモン製剤を用いた豚の発情同期化法を開発する。

成果の内容・特徴

  • プロスタグランジン(PG)F15mgを,成熟雌豚に排卵後8~10日の3日間にわたって1日2回筋肉内に反復注射すると, 黄体が早期に退行して血液中のプロジェステロン(P)濃度が低下した(図1)。さらに,それに伴って卵胞の発育,発情及び排卵が誘起された。このことから,PGFは豚では発情同期化効果が低いといわれていたが,反復投与することにより人為的に発情・排卵を誘起できることが明らかになった。
  • 成熟雌豚(22頭)にPGFを反復投与したところ,前回の発情最終日から14~16日後に発情が集中して始まり,1~3日間発情を持続した(表1)。同期化された発情時に交配を行った12例のうち10例(83%)が受胎し,妊娠期間は平均114.0日,産子数は10.2頭で, 産子の平均体重は1.3kgであり,自然発情による交配と同様の成績が得られた(表2)。

成果の活用面・留意点

本法による雌豚の発情同期化と人工授精との組合せにより,鈍性発情の治療及び予防が可能となった。また,交配日を予め設定することができるため,人工授精用の精液の手配や分娩日,離乳日の調整が計画的に行える。

具体的データ

図1 PGF2α処置後の発情、排卵と性ホルモンの推移

 

表1 PGF2α処置後の発情発現状況

 

表2 PGF2α処置後の発情時の交配による繁殖成績

その他

  • 研究課題名:雌豚の発情同期化による鈍性発情防止技術の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9~12年度
  • 発表論文等:Repeated administration of PGF2a shortens the estrus cycle in swine with functional