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イバラキウイルス感染血清のブルータングゲル内沈降反応における交叉反応は高頻度で起こることが判明した。この交叉反応はブルータングの競合ELISAでは解消された。イバラキ病感染の疑われる地域でのブルータングの血清診断は競合ELISAが推奨される。
現在、我が国では、OIEのリストA疾病であるブルータングウイルス(BTV)の血清診断法として、ゲル内沈降反応(AGID)が行われている。現行のBT-AGIDでは、日本国内で発生の見られるイバラキ病ウイルス(IBV)との間に交叉反応が生じることが知られているが、IBV野外感染牛血清における交叉反応の頻度は不明である。さらに、AGIDは感度が低く、判定が主観的になる傾向が強い問題点もある。そこで、IBV野外感染牛血清のBTのAGIDにおける陽性率の頻度を調査した。また、この問題点の解決策として、BTの競合ELISA法(C-ELISA; OIE. (2000) Manual of Standards for Diagnostic Tests and Vaccins)の有効性について検討した。
補足説明:競合ELISA
血清反応で見られる交叉反応を回避するため、特異性の高いモノクロ-ナル抗体を介在させて、病原体などを検出する特異性の高いELISAの一法。通常のELISAでは動物種毎の酵素標識抗抗体を準備する必要があるが、本法では、酵素標識抗マウスイムノグロブリン抗体を準備するだけでよい。 具体的には、検査血清を反応させ、同時に抗原特異的モノクロ-ナル抗体を反応後、酵素標識抗マウスイムノグロブリン抗体で抗原特異的モノクロ-ナル抗体を検出し、判定する。陽性血清の場合、被検血清中の抗原特異的抗体が抗原と反応し、モノクロ-ナル抗体が抗原へ結合しないため、最終的に呈色反応が起きない(反応液に色が出ない)。陰性血清では、モノクロ-ナル抗体が抗原に結合し、このモノクロ-ナル抗体に酵素標識抗マウスイムノグロブリン抗体が結合し、酵素により基質液に呈色反応が起きる(反応液に色の変化が出る)。本法には特異性の高いモノクロ-ナル抗体が必要である。