現行の牛海綿状脳症(BSE)サーベイランス検査および確定検査により鹿慢性消耗症(CWD)は検出できる
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要約
わが国で施行されている BSE検査および確定検査方法は CWDの摘発に有用である。2003~2006年度に行ったCWDサーベイランスにおいて、国内のシカにCWDの浸潤は認められない。
- キーワード:シカ、鹿慢性消耗症(CWD)、検査・診断方法、サーベイランス
- 担当:動物衛生研・プリオン病研究チーム
- 連絡先:電話029-838-7708
- 区分:動物衛生
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
鹿慢性消耗病(CWD)は、牛海綿状脳症(BSE)および羊・山羊のスクレイピーとともに動物のプリオン病である。近年、CWD
の発生が北米を中心に多発している。わが国においてCWDの発生は認められていないが、本病の発生原因は明らかとされていないこと、CWDは水平感染によ
り蔓延すること、ヒトに対するリスクも明らかでないことからその発生予察および侵入防止が必要とされ、わが国で用いられているBSE検査法のCWDへの有
用性について検討するとともに国内のシカを対象に浸潤状況調査を実施する。
成果の内容・特徴
- CWDは、わが国で承認されている市販のBSE検査キット(バイオラッド社;TeSeE BSE検出キット,富士レビオ社;フレライザBSEキット)によって検出される。
- CWD感染シカ由来の異常プリオン蛋白質(PrPSc)は、BSE確定検査で用いられている抗プリオン蛋白質抗体と反応する(表1)。
- BSE確定検査で用いられるウェスタンブロット法(WB法)および免疫組織化学的検査(IHC法)でCWDの診断が可能である (表1)。
- 2003~2006年度に実施したCWDサーベイランスにおいて、国内のシカにCWDの浸潤は認められない(表2)。
成果の活用面・留意点
- わが国で採用されているBSE検査・確定検査方法はCWDの摘発に有用である。
- CWDの検出に新たな診断法の開発・導入は必要としない。
- わが国のBSE検査および確定検査機関はCWDを迅速・的確に摘発できる。
- CWDの侵入および蔓延防止のため、CWDの監視が必要である。
- 過去4年間の調査で国内のシカからCWDは検出されなかった。
具体的データ


その他
- 研究課題名:プリオン病の防除技術の開発
- 課題ID:322-d-01
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2005-2007年度
- 研究担当者:舛甚賢太郎、嶋田希実、木村久美子、今村守一、吉田歩、岩丸祥史、毛利資郎、横山隆
- 発表論文等:Masujin et al., Microbiology and Immunology. (2007) 51: 1039-1043