紫外線照射による粗飼料汚染かび毒の除去

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要約

紫外線(短波長UV-C)の照射がかび毒を減弱することを見出し、その知見を基に粗飼料中のかび毒を低減する方法を開発した。本法を用いることにより、粗飼料中のかび毒を減弱できる。

  • キーワード:紫外線照射、粗飼料、かび毒
  • 担当:動物衛生研・安全性研究チーム
  • 代表連絡先:電話029-838-7708
  • 区分:動物衛生
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

サイレージを主とする自家製粗飼料をしばしば汚染するかび毒は、長期摂取により家畜に発育遅延や疾病抵抗性の低下をもたらす一要因と指摘されている。特に、発育障害や免疫毒性作用が知られているデオキシニバレノール(DON)に関しては、有効な除去法が確立していない。そこで本研究は、殺菌、殺真菌作用を持つ紫外線照射がかび毒の減弱にも応用できることを示し、併せて家畜飼養現場で実用化できるかび毒低減・除去技術の開発を目指す。

成果の内容・特徴

  • 短波長紫外線を純品状態及びコーンサイレージ中のかび毒DONに短時間(30分以内)照射すると、純品は紫外線の強度や照射時間に依存して1/5以下に減弱、また、コーンサイレージ中のDONはUV-C強度2.5 mW/cm2 下で最大約35%減弱する効果が認められる(図1)。
  • 紫外線照射による粗飼料中DON減弱には、照射中に飼料を間歇的に攪拌する操作が有効である。
  • これらの知見を基に考案した「紫外線照射による飼料汚染かび毒の除去装置」を図2に示す。

成果の活用面・留意点

  • 紫外線照射によるかび毒の除去効率を上げるためには、発熱の小さい紫外線光源、照射強度、攪拌方法等を今後改良する必要がある。
  • 飼料の一部の栄養素には紫外線による劣化が認められるので、その防止対策が必要である。

具体的データ

図1 紫外線照射(紫外線強度:2.5mW/cm2 UV-C)によってコーンサイレージ中のデオキシニバレノールの濃度が減弱した事例(n=4 平均値±標準偏差)

図2 紫外線照射装置の概要

その他

  • 研究課題名:飼料・畜産物の生産段階における安全性確保技術の開発
  • 課題ID:323-d
  • 予算区分:委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2006~2010年度
  • 研究担当者:村田英雄(生産病研究チーム)、嶋田伸明、宮崎茂
  • 発表論文等:1)Murata H. et al. (2008) Food Addi. Contam. 25(9): 1107-1110
                       2)村田ら(2007) 特許公開 2008-237108