超微細高密度オゾン水はCampylobacter jejuniに対して殺菌効果を示す
要約
近年、開発された超微細高密度オゾン水は、食中毒起因菌であるCampylobacterjejuniに対して強い殺菌効果を示す。本オゾン水は、養鶏場や食鳥処理場を汚染するC.jejuniを防除するための有効なツールとなる可能性がある。
- キーワード:カンピロバクター食中毒、鶏、超微細高密度オゾン水、Campylobacter jejuni
- 担当:動物衛生研・安全性研究チーム
- 代表連絡先:電話029-838-7708
- 区分:動物衛生
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
わが国の代表的な食中毒起因菌であるCampylobacterjejuni(C.jejuni)は、養鶏場、食鳥処理場、および市販鶏肉といった、鶏肉の生産段階から消費段階までを広範に汚染している。しかし、汚染を防除するための有効な対策は確立されておらず、養鶏場、食鳥処理場での徹底した衛生管理がC.jejuniの蔓延を防止する重要な手段となる。本研究では、非常に微細なオゾン気泡を繰り返し水に注入した超微細高密度オゾン水(以下、オゾン水と略す)の、C.jejuniに対する殺菌効果を基礎的および養鶏場、食鳥処理場での応用を想定した実験により検討する。
成果の内容・特徴
- オゾン濃度4ppmのオゾン水を、菌液(108CFU/ml)に対して300倍量混合すると、オゾン水はC. jejuni に対して瞬時に殺菌効果を示す。また、オゾン水は採水後10分までは、採水直後と同等の殺菌効果を示す(図1)。
- 鶏糞中のC.jejuni(108CFU/ml)を殺菌するためには、鶏糞体積の3,000倍量のオゾン水が必要である(図2)。
- 鶏皮表面にC. jejuni 104個を接種して作製した試験材料を、濃度10ppmのオゾン水により80ml/秒で洗浄した場合、90秒で菌を鶏皮から除去することができる(図3)。
成果の活用面・留意点
- オゾン水は、一定の条件(水量比1:300以上、オゾン濃度4ppm以上)でC. jejuniに対して瞬時に作用し、一定時間持続する殺菌効果を示すことから、防除の有効なツールとなる可能性がある。
- 採水後1~2間のオゾン水では殺菌効果を認めなかったことから、野外応用の際には、消毒槽等に長時間貯めて使用、または少量を噴霧して使用するよりも、消毒する対象を直接洗い流すような使用法が適していると考えられる。
- 養鶏場や食鳥処理場の現場において、鶏糞便などの多量の有機物の存在環境下で十分な殺菌効果を発揮させるためには、オゾン水の使用条件・方法について更なる検討を重ねる必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:飼料・畜産物の生産段階における安全性確保技術の開発
- 中課題整理番号:323d
- 予算区分:実用事業
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:岩田剛敏、秋庭正人、神尾次彦
- 発表論文等:岩田ら(2008)鶏病研究会報、44 (4):158-165