ウシCXCL8に対するモノクロ-ナル抗体

要約

新たに作出したウシCXCL8に対するモノクロ-ナル抗体を用いることにより、種々の試料中のウシCXCL8の測定および、免疫染色によって組織内におけるウシCXCL8の分布の解析が可能となる。

  • キーワード:ウシCXCL8、ELISA、免疫染色
  • 担当:家畜疾病防除・病態監視技術
  • 代表連絡先:電話 029-838-7708(情報広報課)
  • 研究所名:動物衛生研究所・動物疾病対策センター
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

CXCL8(別名インターロイキン8)は、炎症および免疫認識において主要な役割を担うサイトカインで、リポ多糖類等の刺激により、単球、マクロファージ、内皮系細胞および好中球などの種々の細胞で産生され、特に好中球において様々に作用する。ウシCXCL8の牛体内での活性や動態を研究するためには、抗ウシCXCL8モノクロ-ナル抗体が有用となる。そこで、抗ウシCXCL8モノクロ-ナル抗体を樹立し、これを用いたELISAによるウシCXCL8の測定系を確立する。

成果の内容・特徴

  • ウシCXCL8に対する3種類のモノクロ-ナル抗体 (SH8-8D7, SH8-12A5, SH8-2A1)を樹立する。樹立したモノクロ-ナル抗体は、免疫沈降法およびウエスタンブロットでウシCXCL8と反応している(図1)。
  • 1株(SH8-2A1)は、ウシCXCL8の中和活性を有する。
  • 樹立したモノクロ-ナル抗体の内、捕捉抗体にSH8-12A5を、検出抗体にSH8-2A1を用いることにより、ウシCXCL8を検出可能である。測定範囲は、20-1000pg/mlである(図2)。
  • ヒトCXCL8には軽度に反応しているが、他のウシサイトカインとの交叉性はない(表1)。
  • 培養上清中のウシCXCL8の測定が可能である。
  • SH8-2A1は、免疫染色に適用可能である(図3)。

成果の活用面・留意点

  • ウシCXCL8が定量可能となったことで、さまざまな疾病における、CXCL8の関与や動態が明らかとなる。
  • ウシCXCL8の免疫染色が可能となったので、ウシCXCL8の病理学的な解析で利用できる。

具体的データ

図1~3、表1

(清水眞也)

その他

  • 中課題名:罹病家畜の病態解明と発病監視技術の開発
  • 中課題番号:170c1
  • 予算区分:交付金プロ(乳房炎治療)
  • 研究期間:2009~2011年度
  • 研究担当者:清水眞也、広田次郎
  • 発表論文等:Hirota J. et al. (2011) European Cytokine Network 22 (1): 73-80