抗サルモネラO4抗体検出用競合エライザ法の開発

要約

抗サルモネラO4モノクローナル抗体とそれを用いた競合エライザ法は、サルモネラ血清型O4群に属するSalmonella enterica serovar Typhimurium(ST)に感染したウシ、ウマ、ブタ、ニワトリにおいて、STに対する特異的抗体を検出することができる。

  • キーワード:サルモネラ、競合エライザ法、モノクローナル抗体
  • 担当:家畜疾病防除・先端的疾病防除技術
  • 代表連絡先:電話 029-838-7708(情報広報課)
  • 研究所名:動物衛生研究所・細菌・寄生虫研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

家畜・家きんのサルモネラ症及び家きんサルモネラ感染症は、家畜伝染病予防法における、届出伝染病及び法定伝染病にそれぞれ指定されている。畜産業におけるサルモネラ症の発生は経済的損失が極めて大きいため、家畜・家きんに対する衛生対策は特に重要視されている。農場におけるサルモネラコントロールプログラムでは、細菌検査と抗体検査が必要であり、抗体検査によりサルモネラの侵入や農場汚染の実態を把握できる。しかしながら、実際には細菌検査による菌の同定のみに留まる場合が多い。現在、使用されているサルモネラ抗体の検出は、エライザ法が一般的であるが、各動物種に対する2次抗体の準備が必要となり煩雑である。そこで、本研究では、様々な家畜・家きんの抗体検査を一つの検査で行う、新しい検査方法の開発を目指す。

成果の内容・特徴

  • 本研究で開発したマウスモノクローナル抗体(IgG)は血清型O4群サルモネラに対して特異的な抗体である(図1)。
  • 様々な家畜・家きん、その他のO4群サルモネラ感染症に対応できるO4群サルモネラ抗体検査法を開発する(図2)。
  • 抗サルモネラO4モノクローナル抗体を用いた競合エライザ法を用いることにより、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリにおいて、STの感染を検出できる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 各動物に対する2次抗体の作製が不要で、あらゆる動物種に対応可能である。
  • 今後は、血清型O4群以外のモノクローナル抗体を開発することで、他の血清型に対応する。

具体的データ

図1~3

その他

  • 中課題名:先端技術を利用した新しい疾病防除技術の確立
  • 中課題整理番号:170c2
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2014年度
  • 研究担当者:江口正浩、Swarmistha Devi Aribam (JSPS)、松井英則(北里大)、岡村雅史(北里大)、秋庭正人、広田次郎、小川洋介、下地善弘
  • 発表論文等:Aribam S.D. et al. (2015) J. Microbiol. Methods 108(1):1-3