水稲作況標本地点における乳白粒と基部未熟粒発生の気象要因
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要約
全国の水稲作況標本地点における「コシヒカリ」の乳白粒の発生には、出穂前後の高温と低日射量が、また基部未熟粒には出穂後の高温が関係している。
背景・ねらい
米の白未熟粒(胚乳部に白濁をもち未熟粒に分類される粒)はデンプン蓄積の異常により引き起こされる現象であり、発生には登熟期の高温が主に関与するとされる。しかし、広域レベルにおける高温の時期、気温以外の気象要因の影響や白未熟粒タイプ別の違いについては不明な点が多い。そこで水稲作況標本地点における「コシヒカリ」について、乳白粒と基部未熟粒の発生に及ぼす気象要因の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 解析には2001~2004年の水稲作況標本地点データにおける「コシヒカリ」(41都府県、のべ1007地点)の玄米の外観品質データとアメダス及び気象官署の気象データを用いている。
- 乳白粒の発生率は、出穂後だけではなく出穂前20日間の平均気温・最低気温とも相関が高い(図1)。一方、基部未熟粒の発生率は出穂後の平均気温・最低気温との相関が高い。
- 乳白粒率は出穂後20日間の平均気温が高まると増加する傾向にある(図2)。ただし、出穂後20日間の気温が26℃以下でも出穂前20日間の平均気温が高かったり、出穂後20日間の日射量が低い場合に乳白粒率は高まる(表1)。また、28℃以上の高温下では籾数が多い場合に、乳白粒の発生がより助長される傾向にある。
成果の活用面・留意点
- 2001~2004年の4年間の解析結果である。
- 解析には倒伏が少ない地点のみを用いている。
具体的データ



その他
- 研究課題名:イネゲノム解析に基づく収量形成生理の解明と育種素材の開発
- 課題ID:221-c
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003~2006年度
- 研究担当者:近藤始彦、石丸努、三王裕見子