コシヒカリを遺伝的背景としたイネ近縁野生種Oryza rufipogon (IRGC-Acc104814)染色体断片導入系統群の作出

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要約

「コシヒカリ」を遺伝的背景としたタイ原産野生種Oryza rufipogon (IRGC-Acc104814)の染色体断片導入系統群(40系統)を作出し、作物研究所ホームページで公開している。

  • キーワード:染色体断片導入系統群(Introgression lines:ILs)、Oryza rufipogon、DNAマーカー、コシヒカリ、イネ
  • 担当:作物研・稲マーカー育種研究チーム
  • 連絡先:電話:029-838-8808
  • 区分:作物
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

イネ近縁野生種には一般に、稲の栽培化の過程で失われた未利用遺伝子が豊富に保存されており、これまで病害虫抵抗性をはじめ環境 ストレス耐性、収量性等について数多くの新規の遺伝子が報告されている。しかし、野生種は不良形質を多く持つため、有用遺伝子の効果を表現型で直接評価す ることは困難である。そのため、野生種の多様性・有用性を効率的に評価し、育種的利用を図るため、「コシヒカリ」を遺伝的背景とする野生種染色体断片導入 系統群(Introgression Lines: ILs)を作出する。

成果の内容・特徴

  • 本系統群は、タイ原産O. rufipogon (IRGC-Acc104814)を1回親とし、「コシヒカリ」を4回戻し交雑した後代から、ゲノム全体に分布する132個のDNAマーカーを利用して選抜した40系統からなる(図1)。
  • 各系統は、O. rufipogon 由来の一部の染色体断片以外が「コシヒカリ」型の染色体を有する。導入されたO. rufipogon 染色体領域は系統群全体としてゲノム領域全体をほぼカバーしている(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 本系統群は、O.rufipogon の多様性・有用性を効率的に評価でき、遺伝解析の研究材料や育種母本として利用できる。
  • 「コシヒカリ」を遺伝的背景としているため、実用的な価値が高い。
  • 一部に、O.rufipogon の染色体でカバーしていない領域が存在する。また目的領域以外にも野生稲の染色体断片が存在する。
  • 本系統群の遺伝子型の詳細や分譲の手続きについては、http://nics.naro.affrc.go.jp/ine_idensi/で公開している。
  • 本系統群を用いて得られた知的財産権に対して権利を主張する場合がある。
  • 本系統群の親O.rufipogon (IRGC-Acc104814)の種子はIRRIから入手できる。

具体的データ

図1.O.rufipogon染色体断片導入系統群(KRILs)40系統の遺伝子型

 

その他

  • 研究課題名:稲病害虫抵抗性同質遺伝子系統群の選抜と有用QTL遺伝子集積のための選抜マーカーの開発
  • 課題ID:221-g
  • 予算区分:委託プロ(DNAマーカー)(QTL遺伝子)
  • 研究期間:2002~2007年度
  • 研究担当者:平林秀介、竹内善信、梶亮太、小川紹文(宮崎大学)、安東郁男、加藤 浩、井辺時雄