ダダチャ豆系のエダマメ用大豆品種はビタミン葉酸を多量に含む

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要約

ダダチャ豆系の品種の多くは生エダマメの葉酸(5-メチル-テトラヒドロ葉酸)含量が高く、100g当たり500μgを超える品種がある。収穫後に適切な鮮度保持処理し、新鮮な状態で加熱調理することでより多くの葉酸が保持できる。

  • キーワード:ビタミン葉酸、エダマメ、ダダチャ豆、鮮度保持、加熱調理
  • 担当:作物研・大豆育種研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-8503
  • 区分:作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ビタミンB群の葉酸は貧血の改善や動脈硬化の予防にも効果があると言われている。また、新生児の先天性障害リスク軽減のために妊 娠前から1日400μg以上の葉酸の摂取{厚生労働省(2000)}が重要とされている。エダマメは葉酸が豊富であることが示されているが、定量分析が煩 雑であったために葉酸の集積特性についてはこれまでほとんど知られていなかった。生鮮食品についても栄養成分の表示が可能となったことから、簡易にした定 量法によって多数のエダマメ用品種を分析した結果、ダダチャ豆系のエダマメ品種の多くは葉酸に富む食品であることを明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ダイズ子実に含まれる葉酸はエダマメ収穫適期までは増加し、子実が黄化を開始すると低下する(図1)。
  • エダマメ収穫適期の葉酸含量について約50品種の生エダマメを調査した結果、ダダチャ豆系のうち、特に遊離グルタミン酸やアラニンなどが多く含まれ、良食味で知られている品種の葉酸含量は100g当たり500μgを超えている(図2)。
  • 葉酸は収穫後数日で低下するが、食味成分が十分に保持される流通方法である微細孔フィルム包装(MAP)して、15℃以下で莢エダマメを保存すれば、3日後であっても葉酸は80%以上保持される(図3)。
  • 生エダマメを加熱調理すると葉酸は減少するが、やや長い4分間沸騰水中でゆでても80%以上残存し、食塩の有無でも変わらない(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 生エダマメの葉酸含量は栽培条件や気象条件によっても変動する。
  • 葉酸が多いことを確認したエダマメについては、葉酸が多いことを食味と関連が深いショ糖やグルタミン酸とともに表示すれば、消費者へより強くアピールできる。

具体的データ

図1種子の登熟に伴う葉酸含量の変化(品種SB1012)

 

図2 エダマメ収穫適期のダイズ子実の葉酸含量の品種比較

 

図3 収穫後の莢エダマメをMAPで保存した時の子実葉酸含量の変化図4 莢エダマメを沸騰食塩水中でゆでた際の子実葉酸含量の変化

 

その他

  • 研究課題名:省力・機械化適性、加工適性、病害虫抵抗性を有する食品用大豆品種の育成と品質安定化技術の開発
  • 課題ID:211-b
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:増田亮一、斉藤道彦(食総研)、中村善行
  • 発表論文等:増田ら、(2007)エダマメ研究、5:22-27