食味・外観の良い蒸切干加工用サツマイモ新品種「ほしキラリ」

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要約

サツマイモ「ほしキラリ」は蒸切干の外観や食味が優れる蒸切干加工用系統である。「シロタ」は、ほとんど発生しない。でん粉の糊化温度がやや低く糖化しやすい。

  • キーワード:サツマイモ、加工用、蒸切干、良食味、糊化温度
  • 担当:作物研・食用サツマイモサブチーム
  • 代表連絡先:電話029-838-8500
  • 区分:作物、関東東海北陸・関東東海・水田作畑作
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

サツマイモ蒸切干は茨城県を中心に生産され、加工用作付け品種は「タマユタカ」が9割以上を占めている。しかし、この品種は蒸切干に「シロタ」と呼ばれる品質障害が発生しやすい欠点があり、しばしば問題となっている。また、近年は外国産蒸切干の輸入が増加し、国産蒸切干の品質向上が急務となっており、「タマユタカ」より蒸切干品質の優れる新品種が望まれている。そこで、「シロタ」の発生が少なく蒸切干の外観や食味が優れる蒸切干加工用品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「ほしキラリ」は、多収でいもの外観が優れる「関系112」を母、でん粉の糊化温度がやや低い「九州127号」を父とする交配組合せから選抜した系統である。
  • 蒸切干の肉色は淡黄で、外観が優れる。また、蒸切干の食味は「上」であり、「タマユタカ」より優れ、良食味品種「泉13号」並みまたはより優れる(表1、図1)。
  • 蒸切干の「シロタ」が「微」と、ほとんど発生しない(表1)。
  • 上いも収量は「タマユタカ」の6割程度と少ないが、「泉13号」より多い(表2)。
  • でん粉の糊化温度が、「タマユタカ」、「泉13号」等の従来品種よりも5~6°C程度低いので、蒸煮時のでん粉の糖化が進みやすく、蒸切干の糖度が高い(表1)。
  • ネコブセンチュウ抵抗性、つる割病抵抗性が「タマユタカ」より優れる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 高品質蒸切干加工用品種としての普及が期待され、茨城県で有望視されている。
  • 立枯病抵抗性が「やや弱」なので、同病害の発生圃場では防除に努める。
  • 苗床での萌芽が遅れやすいため、苗床での保温に留意する。

具体的データ

表1 ほしキラリの蒸切干品質等(平成17~20年、無マルチ標準栽培)

表2 ほしキラリの収量・塊根特性(平成17~20年、無マルチ標準栽培)

表3 ほしキラリの病虫害抵抗性・貯蔵性・萌芽性(平成17~20年)

図1 ほしキラリの塊根・蒸切干の外観 (左:塊根、中央:蒸切干、右:「タマユタカ」の蒸切干、右下はシロタ(白変部)の発生した「タマユタカ」)

その他

  • 研究課題名:良食味で加工適性に優れた甘しょ品種の育成と新たな有用特性を持つ甘しょ育種素材・系統の開発
  • 課題ID:311-e
  • 予算区分:基盤・高度化事業
  • 研究期間:2002~2008 年度
  • 研究担当者:熊谷亨、藏之内利和、中村善行、高田明子、中谷誠、田宮誠司