水稲「ヒノヒカリ」のいもち病真性抵抗性同質遺伝子系統新品種候補「関東IL6号」

要約

水稲「関東IL6号」は、インド型系統IR65482-136-2-2が持ついもち病抵抗性遺伝子Pitaを、戻し交配とDNAマーカー選抜により「ヒノヒカリ」に導入したいもち病抵抗性準同質遺伝子系統である。

  • キーワード:イネ、ヒノヒカリ、同質遺伝子系統、いもち病抵抗性、Pita、DNAマーカー
  • 担当:作物研・稲マーカー育種研究チーム、低コスト稲育種研究チーム
  • 連絡先:電話 029-838-8950
  • 区分:作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

市場性の高い品種を用いての減農薬栽培・有機栽培用の品種が要望されており、暖地・温暖地向きの代表的な良食味品種である「ヒノヒカリ」に戻し交配とDNAマーカー選抜で抵抗性遺伝子を導入し、同質遺伝子系統を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「関東IL6号」は、いもち病抵抗性遺伝子Pitaを保有するインド型系統「IR65482-136-2-2」を一回親とし「ヒノヒカリ」を反復親として6回戻し交配し、DNAマーカー選抜により育成された同質遺伝子系統である(表1)。
  • 「IR65482-4-136-2-2」由来のPita領域の導入染色体断片約1.64Mbを有し、それ以外の染色体領域は「ヒノヒカリ」に置換されている(図1)。
  • いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pita 、Pia、Pii”であり、いもち病抵抗性を除く主要な形質は「ヒノヒカリ」と同等である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 「関東Il6号」は、「ヒノヒカリ」のいもち病抵抗性マルチライン品種として活用できる。
  • 適地は温暖地西部の平坦地・暖地の山麓・平坦地である。
  • いもち病の防除以外の栽培管理は、「ヒノヒカリ」の栽培基準に準じて行うこと。

具体的データ

「関東IL6号」の特性概要

関東IL6号のグラフ遺伝子型

その他

  • 研究課題:稲病害虫抵抗性同質遺伝子系統群の選抜と有用QTL遺伝子集積のための選抜マーカー開発
  • 課題ID:221-g
  • 予算区分:DNAマーカー/ゲノム育種/新農業展開
  • 研究期間:1995~2010年度
  • 研究担当者:平林秀介、根本博、春原嘉弘、安東郁男、加藤浩、井辺時雄、常松浩史、佐藤宏之、竹内善信、
                       田中淳一、前田英郎、池ヶ谷智仁、太田久稔、石井卓朗、出田収、平山正賢、八木忠之、小川紹文、
                       西村実、岡本正弘、梶亮太、深浦壮一、溝淵律子