耐倒伏性で草姿が優れる小粒黒ダイズ新品種「くろこじろう」
要約
「くろこじろう」は関東地方における成熟期が中生の晩、子実の子葉色が緑色を呈する小粒の黒ダイズ品種で、「黒大豆小粒」に比べ倒伏しにくく草姿が優れる。
- キーワード:ダイズ、中生の晩、小粒、黒豆、耐倒伏性
- 担当:作物開発・利用・大豆品種開発・利用
- 代表連絡先:電話 029-838-8503
- 研究所名:作物研究所・畑作物研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
茨城県では「納豆小粒」を原料とした納豆が地域ブランドとして定着しているほか、小粒の黒ダイズ品種「黒大豆小粒」を原料とした高級黒豆納豆がある。しかし、「黒大豆小粒」は倒伏しやすく、生産現場からは栽培しにくいとの評価があり、倒伏しにくく栽培しやすい小粒の黒ダイズ品種が求められている。また、三重県では小粒黒ダイズの豆菓子の製造・販売をめざしており、栽培しやすい小粒の黒ダイズ品種を求めている。そこで、関東および東海地域に適した耐倒伏性で栽培しやすい小粒の黒ダイズ品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「くろこじろう」は2002年に草姿が優れる黒ダイズ「黒中粒」を母、納豆用主力品種の小粒黄ダイズ「納豆小粒」を父とした人工交配から育成された小粒黒ダイズ品種である。
- 関東地域における成熟期は「納豆小粒」とほぼ同じ「中生の晩」で、「黒大豆小粒」よりやや晩熟である(表1)。
- 子実収量は6月播種では「納豆小粒」よりやや少ないが、7月播種では同程度である(表1)。
- 主茎長は「納豆小粒」並みだが、倒伏と蔓化程度は「納豆小粒」より1ランク低く、「黒大豆小粒」より2ランク以上低い(表1、写真1)。
- 百粒重は「納豆小粒」よりやや小さい"小粒"で、裂皮粒が少なく外観品質は良好である(表1)。粒形は"偏球"で、「納豆小粒」の"球"とは異なる(表1、写真2)。子実の子葉色は緑である(表1、写真2)。
成果の活用面・留意点
- 栽培適地は関東?東海地域で、茨城県と三重県での普及が見込まれる。
- 納豆、豆菓子、豆ご飯等の地域特産品原料として活用できる。
- ダイズシストセンチュウおよび黒根腐病に対する抵抗性が十分でないので、これら病虫害の発生履歴のある圃場へは作付けしない。
- ウイルス病に対する抵抗性が十分ではないので、種子更新を適宜行う。
具体的データ
その他
- 中課題名:気候区分に対応した安定多収・良品質大豆品種の育成と品質制御技術の開発
- 中課題整理番号:112f0
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2013年度
- 研究担当者:羽鹿牧太、高橋浩司、山田哲也、平田香里、山田直弘、大木信彦、小巻克巳、松永亮一
- 発表論文等:2014年6月品種登録出願(出願番号:29259号)