温度感応性の違いからみた市販ソルガム品種の分類

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要約

温度環境と主稈葉数の関係から、ソルガム市販56品種を温度感応性が異なると思われる3群に分類した。このうち感応性無~弱の品種群は、他と明瞭に区別される1群を形成したが、他の2群の変異には連続性が認められた。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・栽培生理研究室
  • 連絡先:0287-36-0111
  • 部会名:草地・生産管理
  • 専門:栽培
  • 対象:雑穀類、牧草類
  • 分類:指導

背景・ねらい

ソルガムの温度感応性は品種により著しく異なるため、温度環境の変化を伴う播種期、栽培地、年次の違いは、出穂までの生育期間を品種ごとに様々に変化させる。このことは栽培法の策定や試験データの比較を行ううえでの障害となっており、その類別が望まれている。そこで、主稈葉数の反応を指標として、市販56品種の温度感応性の違いを整理した。

成果の内容・特徴

  • 試験は1993年と1994年に実施し、いずれの年次も11期の播種期を設け、年次および播種期の違いがもたらす温度条件の違いと主稈葉数との関係を検討した。
  • '93年は夏期の温度上昇がきわめて小さく、播種期の移動は大きな温度環境の変化をもたらさなかった。一方、'94年は典型的な山型の温度推移をたどり、夏期の最高気温も過去最高に達した。このことは、播種期の移動に大きな温度環境の変化を伴わせるとともに、'93年との間にも大きな温度差をもたらす結果となった(図1)。
  • '94年における主稈葉数の品種別標準偏差(n=11播種期、播種期間の温度差に対する反応の大きさ)をx軸に、主稈葉数の年次間差の品種別平均値(n=10播種期:両年次に共通の播種期10期を対象、年次間の温度差に対する反応の大きさ)をy軸にとり展開したところ、温度感応性が異なると思われる3つの品種群に分類できた(図2、3、表1)。
  • 温度感応性無~弱の品種群の主稈葉数は、播種期移動および年次の違いに対する反応がきわめて弱く、他の品種とは明瞭に異なるグループを形成した(図2、図3)。
  • 感応性中~強の品種の主稈葉数の変異には連続性があり、中品種群と強品種群の区別は明瞭なものではないが、栽培上便宜的な分類として分割した(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 品種比較試験および各種栽培試験の結果を考察する際の基礎的知見となる。また、栽培現場における品種選定にあたっての参考資料となる。
  • 慣用的に用いられている「感温性品種」とは、一定積算温度で出穂する品種、すなわち温度感応性の無い品種のことなので誤解のないようにする。

具体的データ

図1 旬別日平均気温の推移

図2 主稈葉数の温度反応における品種間差

図3 播種期および年次の違いが主稈葉数に及ぼす影響

表1 温度感応性の違いからみた品種の分類

その他

  • 研究課題名:新開発飼料作物の低コスト安定多収栽培法の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :昭和63~平成8年
  • 発表論文等:日草誌 41(別)