草地土壌のためのせん断抵抗測定器

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要約

本器は突起板付きリングによる土壌せん断時のせん断トルクと回転軸の回転角度を検出することにより、土壌せん断抵抗を高精度に測定するもので、フレームに取り付けた足を草地に差し込んで本器を固定する。回転軸は軸受けで支持され、せん断リングは一定荷重を安定して保持しながら回転できる構造であるため、正確な測定ができる。

  • 担当:草地試験場・山地支場・作業技術研究室、草地土壌研究室
  • 連絡先:0267-32-2356
  • 部会名:草地・飼料利用
  • 専門:機械
    作業
  • 対象:牧草類
    農業工学
  • 分類:研究

背景・ねらい

機械の踏圧や牛の蹄傷による草地損傷、機械の走行性の評価には草地土壌のせん断抵抗の測定が必要である。しかし、草地土壌はルートマットを含み、一般に大きなせん断抵抗をもつため、既存の測定器では、垂直荷重を一定に保ち安定したせん断面で正確に測定することが困難な場合が多かった。そのため、草地土壌でせん断抵抗を正確に測定・記録できる装置の開発をすすめた。

成果の内容・特徴

本器は、SR-2型土壌抵抗測定器を基本に、せん断力と回転角度の正確な計測と記録を可能にしたもので、荷重保持部、回転軸支持のためのフレーム、せん断力と回転角度の検出部、バッテリ、データロガー等から構成される(図1、表1)。

  • 測定前に、測定面の植生を地際で刈り取り、せん断リングを測定面に平行にセットし、測定者がフレームに載った状態で垂直荷重を設定する。この状態からトルクレンチを手動で一定速度になるように配慮しながら回転させる。この間のせん断力、回転角度はそれぞれ、ロードセル、ポテンショメータと回転検出器で検出され、データロガーに記録される。
  • 測定終了後、パソコンへデータを転送し、せん断抵抗-回転変位線図や最大トルクの表示ができる(図2)。また、せん断力と回転角度が連続的に記録されるため、草地土壌のすべり係数等物性値の高精度な算出ができる。
  • せん断リングの回転軸をフレームに固定した軸受けで支持し、測定者の体重でフレームを押しつけ、荷重保持部のコイルバネの力で垂直荷重を一定に保つため、安定したせん断面でせん断リングの回転ができる。トルクレンチサイズは、種々、選定でき、草地土壌で精度良く測定できる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 草地損傷や機械の走行性の評価に必要な草地土壌のせん断抵抗の正確な測定に本器は有効である。また、本器は耕地圃場でも使用できる。
  • 草地土壌では、土、根群層および株が混在しており、せん断面の状態がせん断抵抗に大きく影響するため、測定条件を明確にした上で測定する必要がある。

具体的データ

図1 装置の平面図・正面図

表1 主要諸元

図2 測定結果例

表2 装置土壌の最大トルク測定例

その他

  • 研究課題名:せん断抵抗測定による草地土壌の損傷および機械走行の評価
  • 予算区分 :経常・場プロ
  • 研究期間 :平成6年度(平成6年~7年)
  • 発表論文等:草地土壌のためのせん断抵抗測定器の試作、日草誌41(別)