ラップサイロ内ガス濃度連続測定装置
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
ラップサイロ内のガス濃度を連続して自動的に測定する、ガスクロマトグラフを利用した装置を試作した。また、O2、CO2、N2ガスの消長を測定してその有効性を確認した。
- 担当:草地試験場・飼料生産利用部・栽培工学研究室
- 連絡先:0287-36-0111
- 部会名:草地・飼料利用
- 専門:機械
- 対象:牧草類
- 分類:研究
背景・ねらい
ロールベーラとベールラッパによる牧草の収穫作業体系は、その省力性ゆえ、近年急速に普及しているが、品質が安定しない、長期貯蔵が困難である等の問題点が指摘されている。そこで、ラップサイロの気密容器としての機能を調査するために、内部ガスの消長を長期間・連続的に測定する装置を試作した。
成果の内容・特徴
- 試作した装置(図1)は、1mlの検量管を有するTCD型ガスクロマトグラフ(GC-320;シングル流路定圧シングルカラム方式)でラップサイロ内のO2、CO2、N2ガス濃度(気体%)を測定する。なお、ガス濃度を任意の時間間隔で自動的に測定するために、サンプルガス吸引用マイクロポンプのON-OFF、六方コックの切り替え、インテグレータの測定開始をパーソナルコンピュータで制御している。また、カラムの劣化を防ぐためにサンプルガス中の水分を除去する必要があり、乾燥管(硫酸カルシウム粒剤)を設けている。
-
試作装置でラップサイロ内のガスの消長を測定した事例では、CO2濃度は密封直後の18.8%から急激に上昇し、9日後の84%をピークとして、以後緩やかに減少に転じた(図2)。また、N2はその逆の傾向を示しており内外の浸透圧に起因するガスの浸入と拡散の様子が窺える。なお、O2は測定期間中ほとんど検出されなかったが、これは、ラップサイロ内部で消費されたためと推測される。一方、ドラム缶サイロに同様の材料を詰め込んでガスの消長を測定した結果、内部のガス濃度は時間の経過とともに安定する傾向を示した。
成果の活用面・留意点
-
実梱包におけるラップフィルムおよび流通用ラップサイロの品質判定装置に発展できる。また、他形式のサイロ内のガス分析にも利用可能である。
-
本装置で低濃度のO2ガスを測定する場合はガスクロマトグラフの感度を調整する必要がある。また、ストレッチフィルム単体の透気性はその原料や製法で異なるため、ラップサイロの気密性を評価するためにはデータの蓄積を要する。
具体的データ


その他
- 研究課題名:ロールベール流通化のための低水分・高密度技術の開発
- 予算区分 :総合的研究(高品質輪作)
- 研究期間 :平成6~8年度
- 発表論文等:ラップサイロの気密性に関する研究(第1報)、日草誌、41(別)、1995