カラースキャニングスコープによる肉用牛の肉質評価

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要約

肉用牛の生体時における肉質の測定のためにカラースキャニングスコープSR200を用いることにより、ロース芯の脂肪含量を計測することができ、脂肪交雑等の判定が容易にできるようになった。

  • 担当:畜産試験場・加工部・畜産物規格鑑定研究室
  • 連絡先:0298-38-8689
  • 部会名:畜産・食品
  • 専門:加工利用
  • 対象:肉用牛
  • 分類:普及

背景・ねらい

肉用牛の肉質を早期に判定することができれば、牛の出荷時期を適切に決定することができるばかりでなく肥育管理の効率化をはかることができる。従来の機器では枝肉格付部位である第6-7肋骨間での測定は困難であり、測定に時間がかかることや精度が低いことなどの問題があった。そこでこの部位での測定ができるカラースキャニングスコープSR200を開発したので、その性能試験および肉質判定法の確立を目的とした。

成果の内容・特徴

  • 株式会社カイジョーおよび三研と共同開発したカラースキャニングスコープSR200は、従来の超音波画像診断装置(カラースキャニングスコープUSL21型)と同じアーク式のスキャン方式であるが、改良点はガイド重量;2.5kg(従来製品7kg)、プローブ;2MHz(1MHz)、測定時間;2秒(7秒)、測定範囲;深度20cm×30cm(10cm×20cm)、色調;16色(8色)等であった。従って、本機での生体牛における第7胸椎部での測定が容易にできるようになった。
  • 黒毛和種去勢牛の肉質判定のための測定を感度98、Gain04で実施した結果、図1に示すように胸最長筋の画像に著しい相違がみられた。すなわち脂肪含量の多い胸最長筋からのエコー量は多く、少ないものと比較して、多くの色が画像上で見られた。各種の色(青1が最も弱いエコーで赤が最も強いエコーとした)の割合と脂肪含量の相関関係は、表1に示すように青色1割合および全ドット割合などと高い相関が見られた。このことは画像解析により脂肪含量の計測が可能であり、肉質の判定ができることを示した。

成果の活用面・留意点

カラースキャニングスコープSR200により脂肪含量の計測が可能になったが、品種により、生体からのエコー量が異なるので、品種ごとに測定条件および回帰式の選択が必要である。

具体的データ

図1 スキャン画像及び枝肉断面写真

表1 スキャンによる胸最長筋画像の各色の割合と脂肪含量、牛肉脂肪交雑模型(BMS)No.,脂肪交雑及び肉質等級との相関関係

その他

  • 研究課題名:肉用牛の肉質早期推定法
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成2~6年度)
  • 発表論文等:1)カラースキャニングスコープSR200による生体牛の肉質測定、
                        第88回日本畜産学会大会講演要旨, p258 (1994)
                      2)牛肉質の非破壊的測定技術の現状と展望、第14回基礎育種学シンポ
                        ジュウム報告, p27-41 (1994)