乳牛におけるチモシー乾草の自由採食量の推定

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要約

乳牛におけるチモシー乾草の自由採食量は、酵素分析法の低消化性繊維、高消化性繊維、細胞内容物、および酸性デタージェントリグニンと高い相関を持つことから、これらの成分含量から推定が可能である。

  • 担当:畜産試験場・栄養部・飼料鑑定研究室
  • 連絡先:0298-38-8660
  • 部会名:畜産
  • 専門:動物栄養
  • 対象:乳用牛・肉用牛
  • 分類:指導

背景・ねらい

乳牛において飼料を効率的に給与するためには、良質粗飼料をいかに多く摂取させるかが重要なポイントになる。また、最近では輸入乾草を利用する酪農家が多くなり、今後さらに増大していくものと考えられる。そこで乳牛の自由採食によるチモシー乾草の採食量、消化管内滞留時間と化学分析による成分組成の関係から寒地型牧草の乾草採食量の推定式を検討した。

成果の内容・特徴

  • 乳牛の自由採食におけるチモシー乾草の代謝体重当たり摂取量は56.9~78.8g/day、乾物摂取量は6.5~9.1kg/day、ルーメン内滞留時間は45.2~58.9時間であった(表1)。
  • チモシー乾草の酵素分析法による低消化性繊維含量(Ob)、リグニン含量(ADL)および細胞内容物(OCC)と高消化性繊維(Oa)を加算した含量は、代謝体重当たり摂取量と高い相関を示した(表2)。
  • チモシー乾草の乾物摂取量も上記の成分含量と高い相関を示した(表1)。

成果の活用面・留意点

飼料設計および給与診断に活用できる。
オーチャードグラス、イタリアンライグラス、エンバク、トールフェスク等のイネ科牧草における相対的な採食性比較の場合にも利用できる。
推定式の中では分析が容易に行えるOb含量を指標としたものの利用を推奨する。

具体的データ

表1 チモシー乾草の成分含量、自由採食量、ルーメン内性状及び滞留時間

表2 チモシー乾草の自由採食量と成分含量との関係

その他

  • 研究課題名:各種飼料の炭水化物の構造と消化性
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成2~6年度
  • 研究担当者:甘利雅拡、柾木茂彦、梶川 博-->
  • 発表論文等:乳牛におけるチモシー乾草の採食量と化学成分との関連、第90回日本
                      畜産学会大会講演要旨, p89 (1995)