ヒナを用いる真の代謝エネルギー(TME)測定法の開発
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要約
卵用種雄ヒナを用いた真の代謝エネルギー(TME)価測定法を開発した。この方法により、飼料のエネルギー価が的確・迅速・簡便に評価でき、従来の雄成鶏を用いるTME測定法とほぼ同じTME価が得られる。
- 担当:畜産試験場・栄養部・栄養試験法研究室
- 連絡先:0298-38-8667
- 部会名:畜産
- 専門:動物栄養
- 対象:家禽類
- 分類:研究
背景・ねらい
飼料エネルギー価の的確・迅速・簡便な評価法として真の代謝エネルギー(TME)測定法が開発され推奨されてきた。しかし、従来のTME測定法では測定に雄成鶏を用いるため、成鶏を常に維持しておく必要があり、多大な飼料と労力が必要となる。そこで、経済的に価値がないとみなされる産卵鶏種の雄ヒナ(抜き雄)を用いるTME測定法を開発した。
成果の内容・特徴
- ヒナを用いるTME測定法を開発し、その測定法の評価を行った。
- 次の方法によって、主要な飼料原料であるトウモロコシ、大豆粕とその混合飼料のTME価が測定できた。すなわち、24時間絶食した7日齢のヒナに1日の自由採食量の30%(従来法と同水準)以下に相当する供試飼料を定量的に強制給与し、その後、44時間に排泄される糞尿混合物を全量採取して、給与エネルギーから排泄エネルギーを差し引いて代謝エネルギー価を算出した。なお、内因性エネルギー排泄量は給与エネルギーと排泄エネルギーの間の直線回帰分析により推定してTME価の算出に用いた。
- 本方法と従来法の比較において、得られる値の間に10%程度の相対誤差がみられることもあるが、本方法によって従来法で得られる値と統計的に有意差のない値が測定できた。
- 本方法で得られたTME価において加法性が成立した。
成果の活用面・留意点
- 本方法は油脂類を除く各種の養鶏用飼料原料に適用可能である。
- 現在の養鶏産業では、ME(AME)価の利用が主流である。TME価をME価に換算するにはTME=1.0487ME+40の関係式(畜産研究成果情報No.1, p49, 1988)を用いることができる。
- 油脂類のエネルギー価の測定に本方法を用いる場合、そのままでは不適当であり、TME価の明らかな基礎飼料と混合して測定する必要がある。
(図、表)
具体的データ


その他
- 研究課題名:養鶏用飼料における人工消化試験を中心とした栄養価評価法の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成3~6年度)
- 発表論文等:1)ヒナを用いる真の代謝エネルギー(TME)測定法の検討、日本家禽学
会誌, 31 (春季大会号), p43 (1994)
2)ヒナを用いる真の代謝エネルギー(TME)測定法の検討(2)、日本家禽
学会誌, 31 (秋季大会号), p20 (1994)