遺伝子地図作成のためのワークベンチ gRanch

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要約

連鎖地図作成時のデータ入力や修正、lod score 解析や連鎖地図作成が可能なクライアンソフト gRanch を開発した。また、gRanchは家畜ゲノムデータベースを検索して、種間のマッピングホモロジーを表示、検索する機能を持っている。

  • 担当:畜産試験場企画連絡室動物DNA研究チーム
  • 連絡先:0298-38-8793
  • 部会名:畜産
  • 専門:バイテク
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

分子レベルでの家畜の育種改良を行うためには、遺伝子地図などの家畜遺伝子に関する情報を的確に検索、利用することが必要になる。そこで、畜産試験場では家畜ゲノムデータベースを構築し、WorldWideWed(WWW)を用いて簡単に検索できるシステムを開発し、インターネットを通して公開している(図1).しかし、連鎖解析データの入力や管理においてはセキュリティーを強化する必要があり、また、WWWは機能的に限られるために高度な検索には不向きであった。そこで、専用のクライアントソフトgRanchを開発した。

成果の内容・特徴

  • 遺伝子地図作成のための専用クライアントソフトgRanchをTcl/Tk言語を用いて開発した。インターネットに接続されたマシンにgRanchを搭載することにより、畜産試験場に設置されたサーバーと通信して、連鎖解析データの入力や修正、lodscore解析、連鎖地図の作成、家畜ゲノムデータベースの検索、種間のマッピングホモロジーの表示などがパソコン並の使いやすさで利用することができるようになる。
  • 連鎖解析データを入力したり、修正したりする場合には、gRanchはユーザIDとパスワードによって利用権限と所属組織をチェックした後、サーバー上の連鎖解析データベースを検索して、入力可能な値のリストを表示する。ユーザーはその中からマウスで選択するだけでよいため、誤入力を大幅に防止することができる(図2)。
  • 家畜ゲノムデータベースの検索においても、gRanchは染色体物理地図と連鎖地図を統合した表示、検索が可能であり(図3)、さらに2種類の種間マッピングホモロジーを表示することができる(図4)。また、クライアント側でマップなどのイメージデータを作成するため、インターネットに低速で接続している場合でも十分な応答速度が得られる。

成果の活用面・留意点

  • gRanchは豚のDNA育種事業参加道県に利用していただくことになっている。
  • 現在はTcl/Tk言語が使えるUNIXワークステーション上でしか利用できない。
  • 交流研究の成果であるために、無償譲渡できないなどの問題点がある。

具体的データ

 

図1.システムの概要 図2.連続解析データの入力

 

図3.染色体物理地図と連鎖地図の結合表示 図4.種間マッピングホモロジー

 

その他

  • 研究課題名:家畜遺伝子に関する知識の利用方法についての研究
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成3~7年度)
  • 発表論文等:
    1)gRanch:GeneMappingWorkbench,Proc.ofGenomeInformaticsWorkshop1995(1995)
    2)インターネットを利用した連鎖解析.第4回農林水産情報研究会講演集、農林水産技術会議事務局、p37~40(1995)