※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
ウシ精子核内におけるY染色体の局在部位を FISH法で観察した。この技術を用い異数 性精子を計測した結果、2Y精子の出現頻度は 0.04%であった。また、無担体電気泳動法で分離されたウシ精子のXY判定に利用し、分離効果の判定に要する時間を短縮化することができた。
精子頭部は動物種特有の形態を示し、その大きさや形状の検査は精液検査の基本とされているが、その内部情報を臨床的に知る手段はなかった。見えないものを見るための新しい技術であるFISH法(蛍光インサイツハイブリダイゼーション)は、特定のDNAの細胞内における局在部位や遺伝子の染色体上の座位をしるうえで広く使われている技術である。本研究ではこの技術を用い、セントロメアDNA、テロメアDNAおよびY染色体DNAの局在を目印に精子核内を観察し、さらにこの技術の応用として1異数性精子の出現率の計測、2無担体電気泳動法で分離された精子のXY判定を行った。
精子核におけるY染色体の局在部位の特徴および異数性精子の出現率に関する知見は正常精液について検討し得られたものである。今後、受胎性の不良な精液についてその原因解明の調査項目のひとつにこの技術が応用されることが考えられる。また、FISH法によるXY精子の判別法は産子の性で分離効果を判定する従来の方法に比べて、1より少数の精子で実験できる、2判定に要する時間が大幅に短縮できる、3多数の検体を一度に処理できる利点を持ち、今後のXY精子分離実験において活用される技術と考えられる。