1乳期中の2点の乳量測定による泌乳曲線と総乳量の簡易測定

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要約

1乳期中の2点(最高乳量日と任意の日)の乳量の情報により、固有の泌乳曲線を構築 し、その乳期の特徴を明らかにするとともに、総乳量を推定する手法を開発した。これらの計算手順を表計算ソフトウエアのスプレッドシート上に示し、これを公開した。

  • 担当:畜産試験場・飼養技術部・飼養システム研究室
  • 連絡先:0298-38-8679
  • 部会名:畜産
  • 専門:情報処理
  • 対象:乳用牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

農畜産物の輸入自由化以降、国内の酪農家は生乳生産のコストを引き下げ等の合理化努力を行っている。個体別の生乳生産状況を把握することが可能となる乳用牛群能力検定事業への加入率を高めるとともに、今後は小規模酪農家における個体別の生乳生産状況の把握が重要である。小規模酪農家が個体別の1乳期乳量を推定する場合に、簡易な手法があれば飼養管理、更新計画の策定等に有用であることから、簡易な1乳期乳量の推定法を開発した。

成果の内容・特徴

  • 1乳期のなかの2点、すなわち最高乳量日および最高乳量、任意日および任意日乳量の4個のデータにより泌乳曲線を構築する。任意日を分娩後200日付近とすることにより、当てはまりのよい泌乳曲線が得られる(図1)。
  • 泌乳曲線を構築する計算手順は表計算ソフトウエア(ロータス1-2-3)のスプレッドシート上に示し、これを公開した。利用者はスプレッドシートの入力データ欄に4個のデータを入力することにより、泌乳曲線を構築することができる。
  • 泌乳曲線モデルとして振動モデルを利用しているので、推定されたパラメータを比較検討することにより、乳量の立ち上がりが早い、遅い、ピーク後の乳量低下が早い、遅いなどの乳期の特徴を明らかにすることができる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 2点による泌乳曲線の構築は、月に一度の乳量測定を行う手法と比較し、情報量が少ないことから、泌乳曲線および総乳量の推定精度がやや低い。
  • 最高乳量日について数日の測定誤差は総乳量に大きく影響しないが、任意日の乳量は総乳量に強い影響をおよぼすので、測定は注意する必要がある。
  • このスプレッドシートは計算させるには、ロータス1-2-3R2.3J以降のソフトウエアとそれに見合ったパソコンが必要である。

具体的データ

図1.2点法による泌乳曲線の推定

 

表1.実測値と2点法による305日乳量の比較

 

その他

  • 研究課題名:乳牛のエネルギー体蓄積・産乳モデルの構築
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成5~7年度)
  • 発表論文等:
    1)Takashi HAYASHI and Yoshitaka NAGAMINE:Estimation of lactation curve by only two sampling of daily yield.Anim.Sci.and Tech.,64(12),p1149 ~1155(1993)
    2)林孝:新しい泌乳曲線モデルを利用した1乳期量の簡易な推定.畜産の研究,49(8),p881~886(1995)
    3)林孝・川村輝雄:ロータス1-2-3を利用した2点の乳量測定による泌乳曲線の構築.第4回農林水産情報研究会講演集,農林水産技術会議事務局,p33~36(1995)