TMR飽食給与牛の乳量、乳成分と摂取飼料成分との関係
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要約
TMR飼料飽食牛の乳量、乳成分と摂取飼料成分との関係について、延べ115頭の消化試験データーを基に重回帰分析を行い、乳成分と関係の高い要因を選択した。特に、乳蛋白質生産量と乾物摂取量、TDN摂取量との間に高い正の相関関係が認められた。
- 担当:草地試験場・飼料生産利用部・乳牛飼養研究室
- 連絡先:0287-37-7806
- 部会名:草地・飼料利用
- 専門:動物栄養
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
TMR調製飼料飽食条件下における泌乳牛の乳量、乳成分と給与飼料との関係について、実際に消化試験を行い可消化成分を実測した例は少ない。そこで、広範な飼料設計範囲で消化試験を行い、乳生産と摂取飼料各成分との関係について明らかにする。
成果の内容・特徴
粗飼料の給与割合(10-55%)、種類(イネ科1-3番草、アルファルファ、大豆皮等)を様々に組み合わせた完全混合飼料(TMR)給与条件下で飽食させた泌乳牛延べ115頭(分娩後6-43週、乳量15-40kg/日)の採食量、摂取飼料各成分(OM,EE,CP,CF,NFE,ADF,NDF)含量・消化率、乳量、乳成分、第一胃内VFA組成を測定した。これらのデーターを基に重回帰分析を行い逐次増減法により各乳成分含量・生産量と最も関係の高い摂取成分を選択し関係式を作成した。
- 乳脂率は粗脂肪消化率が高く、乾物摂取量が低いほど高くなる傾向を示した(表1)。
- 乳蛋白質含量は可消化乾物摂取量が多く、泌乳ステージが進み、分娩回数が少ないものほど高くなる傾向を示した。
- 乳糖含量はいずれの飼料成分とも高い相関関係は得られなかったが、有機物含量が高く、NDF含量が少ないほど高くなる傾向を示した。
- 全固形分(TMS)含量は粗蛋白質消化率が高く、泌乳ステージが進み、分娩回数が少ないもほど高くなる傾向を示した。
- 無脂固形分(SNF)含量は有機物含量が高く、第一胃内吉草酸割合が高くなる飼料ほど高くなる傾向を示した。
- 乳脂肪生産量は可消化乾物摂取量が多く、第一胃内プロピオン酸割合が少ないほど高くなる推定式が得られた。
- FCM乳量、乳蛋白質生産量、乳糖生産量、TMS,SNF生産量のいずれも乾物摂取量が多く泌乳ステージが早いものほど高い傾向の推定式が得られた。
- 乾物摂取量、TDN摂取量のいずれも乳蛋白質生産量と最も高い正の相関が得られた(図1,図2)。
成果の活用面・留意点
- 乳量、乳成分を調節する際の目安として利用できる。また、フィールド調査等で乳量・乳成分から自由摂取量を推定する際に利用できる。
- 今回得られた関係式は泌乳ピーク時以降のデーターであるので、分娩後、泌乳ピークに達するまでの関係式は別途検討する必要がある。
具体的データ

その他
- 研究課題名:粗飼料の物理特性評価法の開発。乳牛飼養における粗飼料の物性の効果。
- 予算区分:高品質輪作、経常
- 研究期間:平成7年度(平成3-7年)
- 発表論文等:
乾草の切断長が乳量・乳成分に及ぼす影響.86回日本畜産学会講演要旨、1992.
二番草の給与割合が乳量・乳成分に及ぼす影響.第89回日本畜産学会講演要旨、1994.