コンベア搬送中の粗飼料の質量推定法

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要約

粗飼料の質量をコンベアで搬送中に非接触・連続計測する手法を開発した。本手法は超音波センサを用いた距離計測またはCCDカメラを用いた画像処理によ り、コンベヤ上を流れる粗飼料の体積を計測して質量を推定するもので、混合調製や給与に用いる作業機の知能化に有効である。

  • 担当:草地試験場・飼料生産利用部・調製工学研究室
  • 連絡先:0287-37-7803
  • 部会名:草地・飼料利用総合農業・作業技術
  • 専門:械機
  • 対象:牧草類
  • 分類:研究

背景・ねらい

粗飼料の混合調製や給与を行う際には、粗飼料の質量測定が必要となる。ロードセル等を用いたバッチ式の計量は行われているが、重装備になるうえに連続式混合に適用できないため、連続式の計量法が要望される。これに応えるべく、化学工業等で利用されているスケールコンベヤの適用が試みられているが、極めて高価で重量が大きく振動にも弱いため、移動させて使用することが多い農業での利用には適さない。安価で振動に強い粗飼料質量の連続計測手法が求められている。

成果の内容・特徴

コンベヤで搬送中の粗飼料に対して、超音波もしくは画像を用いて非接触で連続的に体積を計測し、質量を推定する手法を開発した。

  • 本手法の計測系は、超音波利用の場合には超音波センサ、コントローラ及びADコンバータで構成される。画像利用の場合にはレーザマーカ、CCDカメラと、画像入力ボードから成り、それぞれ演算用のコンピュータに接続される(図1)。計測周期は、超音波の場合1/10sec、画像の場合1/6secである。
  • 超音波の場合には、粗飼料のコンベヤ上の堆積高さを超音波センサで計測し、堆積高さの3次式で粗飼料の質量推定を行った。細切生草(オーチャードグラス主体の混播草、カッタの設定切断長30mm、水分は較正時・試験時共に84%)を供試した試験では、推定精度は最大誤差約15%であった(図2)。
  • 画像の場合には、平面状のレーザを投射し、CCDカメラで堆積断面形状を取り込み、断面積の2次式で質量を推定した。細切生草(オーチャードグラス主体の混播草、設定切断長30mm、較正時水分84%、試験時水分83%)を供試した場合の推定精度は最大誤差約21%となった(図3)が、性状が変化しないプラスチックストロ(切断長30mm、外径7.3mm)では約12%であった(図4)。
  • 画像と超音波とを比較すると、計測精度に明確な差はなかったが、画像ではさらに精度が上がる可能性がある。直射日光下では、超音波を利用する方が装置が簡易になる。

成果の活用面・留意点

  • 連続式混合調製等において、粗飼料の質量測定手法として利用可能である。
  • 粗飼料の質量推定式は、粗飼料の性状とコンベヤの諸元に依存するため、その都度較正する必要がある。

具体的データ

図1.計測装置概念図

 

図2.超音波センサーによる生草の質量推定精度

 

図3.画像による生草の質量推定精度 図4.画像によるプラスチックストロの質量推定精度

 

 

その他

  • 研究課題名:粗飼料の調製・給与時におけるセンシング技術の開発
  • 予算区分:経常研究
  • 研究期間:平成7年度(平成3~7年)
  • 発表論文等:サイロ詰め込み用混合サイレージ調製機の開発(第1報)、第53回農業機械学会年次大会講演要旨、1994(一部)