係留方式の違いが家畜の起立・横臥動作に及ぼす影響
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要約
繋ぎ飼い牛舎で用いられているスタンチョン、上下支持2点タイ、コンフォート、ません棒の4種類の係留装置について、牛がストール内で起立・横臥する際の
動作・行動解析を行った。起立・横臥動作時のき甲が最も前方に移動した位置(最前き甲位置)は、コンフォートが最も前方であった。起立・横臥時に係留装置
支持枠にかかる最大加力は、スタンチョンが最も大きく、コンフォートが小さかった。
- 担当:畜産試験場・飼養技術部施設利用研究室
- 連絡先:0298-38-8678
- 部会名:畜産草地・飼料利用
- 専門:飼育管理
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
繋ぎ飼い牛舎においては牛は常に係留されており、係留装置の違いにより前後・左右方向の移動量が規制される。このため、制限のない自由な条件での牛の起立・横臥動作に比較して、前方方向の移動が制限され、膝関節や股関節に大きな荷重が加わり、関節疾患の大きな原因となっている。そこで、係留方式の違いによる拘束条件の違いがストール内での牛の起立・横臥動作に及ぼす影響を明らかにした。
成果の内容・特徴
実験畜舎内に係留ストール1基(幅150cm×長さ200cm)を設け、ホルスタイン種乳牛1頭(体重773kg、体長178cm、体高145cm、腰角幅63cm)を供試して、係留拘束条件(図1)を1日毎に変更してストール内の起立横臥動作をタイムラプスビデオで24時間記録した。
- 起立・横臥動作時における牛のき甲の移動位置は、コンフォートが最も前方まで移動した。上下支持2点タイ、スタンチョンは前方の移動が少なかった。ません棒では起立動作時のき甲位置が横臥動作時より前方になり、他の係留方式に比較してその差が大きかった(図2)。
- 係留装置支持枠にかかる起立・横臥時の最大加力は、スタンチョンが最も大きく、ついで上下支持2点タイ、ません棒、コンフォートの順に小さかった(図3)。
ません棒は横臥動作時より起立横臥動作時に大きな加力が現れ、その差が顕著であった。
- ません棒における起立・横臥動作時の牛のき甲の移動位置は、ません棒の高さに大きく影響された。ません棒の高さが120cmの時にき甲位置が最も前方に移動し、ません棒の高さが低くなるにしたがい移動が小さくなった(図4)。また、係留装置支持枠にかかる加力は、ません棒の高さが120cmの時が最も小さかった。
成果の活用面・留意点
- 係留方式の違いによる家畜の動作行動解析データは、ストール設計の資料として参考になる。
- さらにデータを蓄積し、平準化を図る必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:畜舎機能評価のための家畜動作行動解析と飼養設備の改善
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成3~7年度
- 発表論文等:畜舎機能評価のための家畜動作行動解析と飼養設備の改善-係留拘束条件と起立横臥動作-平成6年度農業施設学会講演要旨、p25-26(1994)