牧場等における展望施設の配置位置決定支援システム

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要約

眺望の良さを地形図から求めるとともに、遠景及び中・近景の土地利用の情報を加えて候補地を抽出し、さらに模擬景観を表示して妥当性を検討することのできる展望施設の最適配置位置決定支援システムを開発した。

  • 担当:草地試験場・草地計画部・造成計画研究室
  • 連絡先:0287-37-7209
  • 部会名:草地・永年草地・放牧情報研究
  • 専門:農村整備情報管理
  • 対象:牧草類
  • 分類:研究

背景・ねらい

牧場等において実際に展望施設を配置するに当たっては、地形要因とともに、計画対象地から眺望される山や湖などの遠景、林帯による中・近景の視界のさえぎり、土地利用に応じた景観の違いも検討した上で、その候補地を選定する必要がある。また、選定された複数の候補地からの景観を表示することにより、その妥当性を事前に確認・評価する必要がある。そこで、展望施設の最適配置位置を繰り返し補正しながら決定できるシステムを開発する。

成果の内容・特徴

利用の手順

  • 手順I:展望施設を設置するエリアを中心に、山、海など計画対象地から眺望できる遠景(約100km圏)を国土数値情報(建設省国土地理院)を用いて画面に表示し(図1)、その中から遠景として取り込みたい対象物をマウスで指定する。
  • 手順II:被視頻度の概念(見はらしの良さ)に以下の3つの選定条件を加えて、計画対象地域における候補地を抽出する(図2)。
    (1)指定した遠景が眺望できる
    (2)中・近景としてできる限り多くの草地が見える
    (3)林帯が視界をさえぎる効果を加える
  • 手順III:画面に表示された候補地の中の1点をマウスで指定すると、その地点から見える中・近景としての草地(可視草地領域)が画面に表示される(図3)。
  • 手順IV:さらに、任意の方向をマウスで指定すると、その地点からの模擬景観が表示される(図4)。
  • 手順V:以上の手順に従って、配置位置の妥当性を事前に確認・検討し、展望施設の配置位置を繰り返し補正しながら決定する支援システムを開発した。

成果の活用面・留意点

  • 草地に関する土地利用図と地形図、ハードウェアはパソコン(NECPC-98シリーズ)、イメージスキャナ及びフルカラーイメージメモリがあれば利用できる。また、家畜が展望できる可能性を高くするために、放牧地がよく見える地点を決定することも可能であるため、事業等に活用できる。
  • プログラム及び利用法をフロッピーディスクで提供できるが、図中に示した計算時間はハードウェアの性能に大きく依存するため、高速なハードウェアでの利用が望ましい。

具体的データ

利用の手順

 

図1.対象地から約100km圏内の可視領域 図2.北西方向に遠景が見え中・近景に多くの草地が見える部分

 

図3.図中A点からの可視草地領域 図4.図3のAからB方向を見た場合の模擬景観

 

その他

  • 研究課題名:草地施設の最適配置手法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成7年~9年)
  • 発表論文等:展望施設の配置計画のための候補地抽出システム、日草誌、42(別)、1996